砂丘の上 |
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渚には蒼き波のむれ かもめのごとくひるがへり 過ぎし日は 海のかなたに死にうかぶ おともなく砂丘の上にうづくまり 海のかなたを恋ひぬれて ひとり ただひとり はるかにおもひつかれたり |
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大正8年(1919)、詩人自身の依頼で出版されたばかりの「抒情小曲集」のために書かれた歌曲だそうです。
広い大海原を眺めて気宇壮大な気持ちに満ち溢れているような、とても爽やかな歌曲となり、ちょっと犀星の詩集を読んで受けるイメージとは違うように私は感じるのですが、朗々としたメロディーに浸っているとそんなことはどうでも良くなってしまいます。
歌詞は青空文庫に載っている「抒情小曲集」にあるものと少々違っておりますが、楽譜に載せられているものの方をここでは転記しました。Youtubeにあったこの歌の演奏でも(当然ではありますが)楽譜通りに歌われておりましたので。ただし仮名遣いや漢字はできるだけ青空文庫のものを尊重しました。その方が犀星らしい感じでしたし。
( 2014.10.11 藤井宏行 )