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Gornye vershiny    
 
山々の頂は  
    

詩: レールモントフ (Mikhail Yur'yevich Lermontov,1814-1841) ロシア
      Wandrers Nachtlied II(1780) 原詩: Johann Wolfgang von Goethe ゲーテ

曲: スヴィリードフ (Georgi Vasilievich Sviridov,1915-1998) ロシア   歌詞言語: ロシア語


Gornye vershiny
Spjat vo t’me nochnoj.
Tikhie doliny
Polny svezhej mgloj.
Ne pylit doroga,
Ne drozhat listy.
Podozhdi nemnogo,
Otdokhnesh’ i ty.

山々の頂は
眠っている 夜の闇の中で
静かな谷間は
新しい霧で満たされている
埃ひとつない道
揺れ動かぬ木の葉
しばし待つがいい
安らげるだろうから お前もまた

スヴィリードフにもけっこうな数のレールモントフの詩につけた歌曲があります。現代ロシア歌曲の重鎮だった人なのですがほとんど録音が現在ではリリースされていない感もあり、その大部分の曲が聴けないのは大変に惜しいのですが、幸いなことにVladimir Baykovという人がとてもたくさんのロシア歌曲をYoutubeにアップされていて、結構な数のスヴィリードフ歌曲を聴くことができます。作曲者の没したのが最近なので、著作権的にはちょっと際どいものがありますが、これがなければスヴィリードフの歌曲を日本で聴く術はほとんどないわけですから有難く(他の作曲家の素晴らしい歌曲と共に)楽しませて頂いております。
さて、そんなレールモントフの詩によるスヴィリードフ歌曲、何曲か彼の歌で聴けたのですが、その中でおやっと思ったのがこの曲、歌詞を見ればお分かりの方はお分かりでしょう。ゲーテの「さすらい人の夜の歌」のロシア語訳です。レールモントフは外国語に堪能だったこともあり、こうしてハイネやバイロンなどの詩をロシア語にしたものがたくさんあり、そのいくつかはこうして歌曲にもなっているのです。ロシア語で韻を踏むため、必ずしも直訳にはなりませんから彼の言葉の選択にも興味が惹かれるところ。ちょっとゲーテの原詩よりは生々しい感じを私は受けました。
スヴィリードフのつけたメロディはいかにもこの詩に、といった感じで、ゲーテの原詩につけたシューベルトやリストの有名な曲にそっくりのイメージでした。

( 2014.09.23 藤井宏行 )


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