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Ballada   Op.84-2  
  Dva romansa na slova M.Lermontova
バラード  
     レールモントフの二つのロマンス

詩: レールモントフ (Mikhail Yur'yevich Lermontov,1814-1841) ロシア
      Баллада (1829)

曲: ショスタコーヴィチ (Dimitry Shostakovich,1906-1975) ロシア   歌詞言語: ロシア語


Nad morem krasavitsa-deva sidit;
I,k drugu laskajasja,tak govorit:

«Dostan’ ozherel’e,spustisja na dno;
Segodnja v puchinu upalo ono!

Ty etim dokazhesh’ svoju mne ljubov’!»
Vskipela likhaja u junoshi krov’,

I um ego obnjal nevol’nyj nedug,
On v pennuju bezdnu kidaetsja vdrug.

Iz bezdny perlovye bryzgi letjat,
I volny tesnjatsja i mchatsja nazad,

I snova prikhodjat i o bereg b’jut,
Vot milogo druga oni prinesut.

O schast’e! on zhiv,on skalu ukhvatil,
V ruke ozherel’e,no mrachen kak byl.

On verit’ boitsja ustalym nogam,
I vlazhnye kudri begut po plecham...

«Skazhi,ne ljublju il’ ljublju ja tebja,
Dlja perlov prekrasnoj i zhizn’ ne shchadja,

Po slovu spustilsja na chernoe dno,
V korallovom grote lezhalo ono. ?

Voz’mi!» ? i pechal’nyj on vzor ustremil
Na to,chto dorozhe on zhizni ljubil.

Otvet byl: «O milyj,o junosha moj!
Dostan’,esli ljubish’,korall dorogoj».

S dushoj beznadezhnoj mladoj udalets
Prygnul,chtob najti il’ korall,il’ konets.

Iz bezdny perlovye bryzgi letjat,
I volny tesnjatsja i mchatsja nazad,

I snova prikhodjat i o bereg b’jut,
No milogo druga oni ne nesut.

海の上に 美しい乙女が座り
一人の男友達に こう話しかける

「取ってきてくれない ネックレスを 水に潜って
 今日 水の底に落としてしまったのよ

 そしたらあなたは私に あなたの愛を証明できるわ」
すると激しく燃え立った 若者の血は

そして彼の心は止められない熱情に駆られて
彼は泡立つ水の底へ突如として飛び込んだのだ

水底から真珠のしぶきが飛び上がり
波は打ち寄せ そして引いた

再び寄って 岸辺に打ち寄せた時
愛する友を 波は連れ戻してくれた

何たる幸運!彼は生きている 彼は岩にしがみついていた
彼の手にはネックレスが だが彼は暗く沈んでいた

彼は疲れ切った足で体を支えるのもおぼつかなかった
そして濡れた巻き毛が肩に貼りついていた

言ってよ ぼくが君を愛していないのかどうか
このきれいな真珠のために ぼくは自分の命を惜しまなかったよ

暗い海の底の
珊瑚の洞穴の中にこれはあったんだ-

受け取ってくれよ」-そして悲しげな目を向けた
彼が自分の命よりも愛する娘に

答えが返ってくる 「愛しいひと おおお友達!
取ってきてくれない 良かったら その珊瑚を」

望みなき気持ちで 若者は勇敢にも
飛び込んだのだ 珊瑚を見つけるか それとも死か

水底から真珠のしぶきが飛び上がり
波は打ち寄せ そして引いた

再び寄って 岸辺に打ち寄せた時
愛しい友を 波は連れてくることはなかった


レールモントフ1828年の作とありますので、詩人がまだ13か14歳の時の作品。シューベルトが曲をつけているシラーの長大なバラード「潜水者」を下敷きに書いているのではないかと思えるくらいよく似たお話です。ただあちらは我が侭な無茶を言うのは王様で、憧れの娘の方は水に潜る若者には同情を寄せているので何とか救いがあるのに対して、こちらのお話ではワガママを言って二度も海へ潜らせているのは当の娘であり、潜る側としても苦い絶望しかないのですね。
壮絶なお話ですが、タイトルが「バラード」(これは詩人がつけたものなのか作曲者があとからつけたのかは分かりませんでした)から想像できますように、音楽は淡々と語るスタイルです。途中不穏な雰囲気でテンポがあがり、盛り上がるところはありますけれども。

( 2014.09.23 藤井宏行 )


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