Utro na Kavkaze Op.84-1 Dva romansa na slova M.Lermontova |
コーカサスの朝 レールモントフの二つのロマンス |
Svetaet - v’etsja dikoj pelenoj Vokrug lesistykh gor tuman nochnoj; Eshche u nog Kavkaza tishina; Molchit tabun,reka zhurchit odna. Vot na skale novorozhdennyj luch Zardelsja vdrug,prorezavshis’ mezh tuch, I rozovyj po rechke i shatram Razlilsja blesk i svetit tam i tam: Tak devushki,kupajasja v teni, Kogda uvidjat junoshu oni, Krasnejut vse,k zemle sklonjajut vzor: No kak bezhat’,kol’ blizok milyj vor!... |
夜明けだ - つむじ風が覆っている 緑豊かな山々の周りを夜の霧で コーカサスの山の麓はなおも沈黙している 静かな馬の群れ ただ小川のみがつぶやいている あの岩の上に 今生まれたばかりの光の帯が 突如真っ赤に射しこんでくる 雲の裂け目から そしてバラ色に染まるのだ 川やテントは きらめきが 輝きがこぼれ落ちる あちこちに 同じように娘たちも 暗闇に隠れていたが ひとりの若者を見るや 真っ赤になって 眼差しを下に向ける だがどうして逃れられよう 素敵な泥棒がこんなそばにいるのに! |
ショスタコーヴィチにもレールモントフの詩につけた歌曲があります。1950年に書かれた2曲からなる「レールモントフの二つのロマンス」作品84です。2曲ともあまり知られていないレールモントフの若き日の詩に曲をつけていて、他の作曲家ではまずみられない詩の選択です。
1曲目は1830年の作。まだ詩人が10代のものということになります。のちに二度も追放となるコーカサスですが、当時の彼はまだ旅行で何度か訪れたのみ、にも関わらずこの詩だけでなくコーカサスの地への愛を歌った詩がこの時期にもいくつか書かれています。
この詩もまるでコーカサスの光景が目に浮かぶような美しいもの。ショスタコービチの音楽は彼のこの時期の前衛志向に引きずられてかあまり聴きやすいものではありませんが、詩をじっくり追いながら聴くとなかなか良くできた歌だと思います。夜明けの情景を現すかのようなピアノの連打が見事です。
ほとんど実演で取り上げられることはないようですけれども。
( 2014.09.23 藤井宏行 )