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Berceuse sur un vieil air    
 
古風な旋律の子守唄  
    

詩: デボルド=ヴァルモール (Marceline Desbordes Valmore,1786-1859) フランス
      

曲: ビゼー (Georges Bizet,1838-1875) フランス   歌詞言語: フランス語


Si l'enfant sommeille,
Il verra l'abeille,
Quand elle aura fait son miel,
Danser entre terre et ciel.

Sie l'enfant repose,
Un ange tout rose,
Que la nuit seule on peut voir,
Viendra lui dire: »bonsoir!«

Si mon enfant m'aime,
Dieu dira lui même:
J'aime cet enfant qui dort:
Qu'on lui porte un rêve d'or.

Mettez lui des aîles,
Comme aux tourterelles
Pour venir dans mon soleil
Danser,danser jusqu'à son réveil.

Fermez ses paupières,
Et sur ses prières,
De mes jardins pleins de fleurs
Faites glisser les couleurs.

Mais je veux qu'il dorme,
Et qu'il se conforme
Au silence des oiseaux
Couchés parmi les roseaux!

Car si l'enfant pleure,
On entendra l'heure
Tinter partout qu'un enfant
A fait ce que Dieu défend.

L'écho de la rue,
Au bruit accourue,
Quand l'heure aura soupiré,
Dira: »d'enfant a pleuré!«

Et sa tendre mère,
Dans sa nuit amère,
Pour son ingrat nourisson
Ne saura plus hélas! de chanson.

Si l'enfant est sage,
Sur son doux visage
La Vierge se penchera,
Et longtemps lui parlera.


もしもその子がまどろんでいるなら
その子はハチを見てるのです
ハチはハチミツを与えてくれて
ダンスをします 天と地の間で

もしもこの子が安らいでいるなら
全身バラ色の天使が
夜だけしか見えない天使が
やってきて言うでしょう「こんばんは」と

もしもこの子がわしを愛してくれるなら
神さまもこうおっしゃるでしょう
わしもこの子が大好きじゃよ
この子に金色の夢を見せてあげよう

この子に羽根をあげよう
ヤマバトのような羽根を
わしの太陽のところに来られるように
踊れるように この子が目覚めるまで

この子のまぶたを閉じさせて
そしてこの子の祈りの上に
花でいっぱいわしの庭園から
彩りを運んできてあげよう

じゃが わしはこの子に眠って欲しいのじゃ
そして尊敬して欲しいのじゃ
鳥たちの沈黙を
葦に囲まれて眠っている鳥たちの!

なぜならこの子が泣いていると
聞こえてくるからじゃ 時計が
あちこちで鳴るのが この子が
していると 神がお禁じになったことをと

それは通りをこだまして
騒音となって押し寄せる
ため息の時の鐘が鳴った時には
そして言うじゃろう「子が泣いている」と

そしてこの子のやさしい母さんは
そんな苦しい夜には
恩知らずな赤ん坊には
もう歌なんか歌ってやらないよ と

この子がおりこうさんなら
そのかわいい顔の上に
聖処女さまが屈みこまれて
話しかけてくださるじゃろう ずっと長い時間 と


美しいメロディの作品をたくさん書いたビゼーの「子守歌」ですから、この曲もまたため息ものの美しさであることは申し上げるまでもないでしょう。
残念ながら他のもっと個性的なビゼー歌曲の中にあっては少々平凡な感じの歌なのでそれほど多く取り上げられることはないですが。
それと有節歌曲にしては繰り返しの省略がしにくい歌詞の内容で、全部繰り返すと5分近くかかってしまうというのもハンデではあります。
逆にこの美しいメロディをたくさん繰り返して聴けるという有難味もあるのではありますが。

詩のデボルド=ヴァルモールは19世紀の前半に活躍した女性詩人&作家。この詩には「古風な」とかいうようなタイトルはついていないようですが、確かに半世紀あとのビゼーの世代からするとこの詩に感じるものは古風なスタイルなのかも知れません。
ゆったりと舟歌のようなリズムで眠りを誘われます。Youtubeではテノールの独唱にハープとハルモニウムの伴奏のついたとても素敵な演奏を聴くことができました。CD録音ではHyperionの方のビゼー歌曲集に収録されています。

( 2014.09.20 藤井宏行 )


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