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The Worker   CG. 460  
 
労働者  
    

詩: ウエザリー (Frederic Edward Weatherly,1848-1929) イギリス
      The Worker

曲: グノー (Charles Gounod,1818-1893) フランス   歌詞言語: 英語


The night lay o’er the city,
The rain and winds made moan;
The worker in his garrett
With nought of earth to praise him,
No earthly love to bless;
But there was one in Heaven
Still cheered his loneliness.
Courage,true heart,courage!
She waiteth beyond the sun
To welcome thee to Heaven
When thy brave work is done.

Far on the hills of Heaven
An angel watching leant
With glad eyes earthward bent,
And whispered thro’ the quiet,
‘I come to thee anon.
Toil on,O my beloved,
Thy work is well nigh done.’
A few more nights of labour,
Of struggling bravely on,
And then God sent the angel.
The worker’s work was done.

Cold lay the lifeless body
Within that cheerless place,
A smile of peaceful trusting
Upon the poor thin face.
But from the lonely garrett,
Unseen of mortal sight,
Two angels happy-hearted
Passed into Heaven that night!
Two angels happy-hearted
Passed into Heaven that night!

夜が街の上を覆う
雨と風とがうめいていた
その労働者は屋根裏部屋に
この世の何も彼を賛美はしない
祝福されたこの世の愛もない
いや たった一つだけ天にある
なおも彼の孤独に声援を送っている
勇気を 真の心を 勇気を!
彼女は待つ 太陽の向こうに
お前を天国で歓迎するために
お前の勇敢な仕事が成し遂げられたとき

遠くの天の丘の上
ひとりの天使が身を乗り出して見ている
嬉しそうな目を地上に向けて
そしてささやく 静けさの中
「私はあなたのもとにいずれ来る
 努力せよ わが愛しき者よ」
あなたの仕事はほとんど成し遂げられた
あと幾晩か勤めれば
勇敢に労苦を惜しまず
そのとき神は天使を送るのだ
労働者の仕事は成し遂げられたのだ

冷たく横たわる命のない肉体
陰気な場所に
平和で信頼しきった笑顔が
その貧しい痩せこけた顔に現れている
だが その人気のない屋根裏部屋から
人間の目には見えないように
二人の天使が幸せな心で
昇っていったのだ 天国へと その夜!
二人の天使が幸せな心で
昇っていったのだ 天国へと その夜!



グノーがロンドン滞在中に書いた結構な数の英語の詩につけた歌曲のひとつです。のちの1910年代に「ダニーボーイ」や「ピカルディのバラ」などの詞で名を上げたフレデリック・エドワード・ウェザリー(1848-1929)の詩に曲をつけているというのも興味深いところですし、詩の取り上げている題材もかなり珍しい感じがします。
Hyperionの2枚組のグノー歌曲集のCDを聴くまでは存在すら知らない曲でしたし、音楽もグノーの流麗で美しいメロディが必ずしも生かされているというのでもないのですが、作詞家と作曲家の組み合わせの妙に思わず取り上げることとしました。

( 2014.08.18 藤井宏行 )


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