TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ


Komm,du schönes Fischermädchen    
 
おいでよ あんた ベッピンの漁師の娘さんよ  
    

詩: ハイネ (Heinrich Heine,1797-1856) ドイツ  & ルソー (Jean Baptist Rousseau,1802-1867) ドイツ
    Buch der Lieder - Die Heimkehr(歌の本〜帰郷 1827) 8 Du schönes Fischermädchen

曲: マイアベーア (Giacomo Meyerbeer,1791-1864) ドイツ−イタリア   歌詞言語: ドイツ語


Du schönes Fischermädchen,
Treibe den Kahn ans Land:
Komm zu mir,setz dich nieder,
Wir kosen Hand in Hand,
Leg an mein Herz dein Köpfchen
Und fürchte dich nicht zu sehr,
Vertraust du dich doch sorglos
Täglich dem wilden Meer.
Mein Herz gleicht ganz dem Meere,
Hat Sturm und Ebb’ und Flut,
Und manche schöne Perle
In seiner Tiefe ruht.
Komm! Komm!
Du schönes Fischermädchen,komm,komm,
Wir kosen Hand in Hand.
Komm! Komm! Komm!

Du schönes Fischermädchen,
Siehst du den Abendstern?
O komm zur stillen Hütte,
Wer liebt,ist einsam gern.
In deine Fesseln lege
Den trotzigen,wilden Sinn,
Sanft wie die Rosenwelle
Lenk ihn zum Frieden hin.
Da draußen auf dem Meere
Ist oft Gefahr und Not,
Senk in mein Herz den Anker
Von deinem Lebensboot.
Komm! Komm!
Du schönes Fischermädchen,komm,komm,
Wir kosen Hand in Hand.
Komm! Komm! Komm!

あんた ベッピンの漁師の娘さんよ
寄せておくれよ 舟を岸辺に
おいらのとこに来て 横に座って
いちゃいちゃしようよ 手に手を取って
おいらの胸にあんたの頭をつけてごらん
そんなにこわがったりしないでさあ
あんたは 怖気づくこともなく
毎日 荒海に出てるじゃないか
おいらの心だって海と同じさ
嵐だってあるし 潮の満ち引きもある
それにたくさんのきれいな真珠も
その底には安らいでるんだから
おいでよ! おいでよ!
あんた ベッピンの漁師の娘さんよ おいでよ おいでよ
いちゃいちゃしようよ 手に手を取って
おいでよ!おいでよ!おいでよ!

あんた ベッピンの漁師の娘さんよ
見えるかい 夕焼け星が?
なあ おいでよ この静かな小屋へ
恋する二人が 二人っきりになれるとこへさあ
あんたの網に捕まっちまったのさ
おいらの頑固な 荒くれ魂は
バラの波みたいにやさしく
こいつを幸せへと運んでってくれよ
外の 海の上ではさ
危険や苦労がときどきあるけど
おいらの胸の中に碇を沈めてくれよ
あんたの命の小舟のさあ
おいでよ! おいでよ!
あんた ベッピンの漁師の娘さんよ おいでよ おいでよ
いちゃいちゃしようよ 手に手を取って
おいでよ!おいでよ!おいでよ!


引き続きマイアーベーアのドイツ語の詩につけた歌曲を取り上げて参ります。これはドイツリートがお好きな方ならどなたでもシューベルトの「白鳥の歌」に入れられたハイネの詩による歌曲と同じ詩だとお気づきになられますでしょう。マイアーベーアはさらにこの歌にジャン・バプティスト・ルソーの手になる第2節を加えて有節の歌曲にしております。なんとも屈託のないナンパの歌ですが、ハイネの詩の表現には深いものも感じられ、本当はこんなくだけた訳をしてはいけないのかも知れません。
もっともマイアーベーアのつけた曲はスペインのボレロを思わせるような情熱的なもの。こんな感じの訳でも悪くはないような気はしますが...
(2014.08.03)

フォン=オッターが来日公演でこの歌を歌うということで、訳詞の見直しを掛けました。彼女はアルヒーフレーベルにこの曲を録音しているのですがリサイタルまでには聴くことかなわず、当初のくだけた訳そのままでプログラムにはお出ししてしまいましたけれど、彼女の歌唱はずっとしっとりとした端正なものでしたのでちょっとこの訳詞には違和感があったかも知れません。マイアーベーアの音楽の多様な柔軟性を感じさせられた演奏会でした。

( 2015.09.26 藤井宏行 )


TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ