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Absence    
 
いなくなった人  
    

詩: ゴーティエ (Théophile Gautier,1811-1872) フランス
    La Comédie de la Mort  Absence (1838)

曲: ビゼー (Georges Bizet,1838-1875) フランス   歌詞言語: フランス語


Reviens,reviens,ma bien-aimée !
Comme une fleur loin du soleil,
La fleur de ma vie est fermée,
Loin de ton sourire vermeil.

Entre nos coeurs quelle distance !
Tant d'espace entre nos baisers !
Ô sort amer! ô dure absence !
Ô grands désirs inapaisés !

Au pays qui me prend ma belle,
Hélas! si je pouvais aller ;
Et si mon corps avait une aile
Comme mon âme pour voler !

Par-dessus nos vertes collines,
Les montagnes au front d'azur,
Les champs rayés et les ravines,
J'irais d'un vol rapide et sûr.

Le corps ne suit pas la pensée;
Pour moi,mon âme,va tout droit,
Comme une colombe blessée,
T'abattre au rebord de son toit.

Et dis,mon âme,à cette belle :
«[Tu sais bien qu'il compte les jours!]4
Ô ma colombe! à tire d'aile,
Retourne au nid de nos amours.»


帰ってきて、帰ってきて、恋しい人よ!
太陽から遠く離された花のように
あたしの人生の花はしぼんでしまった
あなたのバラ色のほほえみから離れて!

あたしたちの心はなんて離れてしまったの!
あたしたちのくちづけの間にはなんて隙間ができたの!
ああ、むごい定め、ああ、残酷な別れ
ああ、この満たされない望み!

あたしの恋人を奪い去った国へ
ああ もしも行くことができたなら
もしもこの体に羽根があったなら
飛び去って行ける魂のような

いくつもの緑の丘の上を
青い稜線の山々や
縞模様の野原や急流を越え
あたしは飛んで行くでしょう 急いでしっかりと

この体は思いについては行けない
あたしのため 魂よ 急いで行って
まるで傷ついたハトのように
降り立つのよ あのひとの屋根の縁に

そして言って 魂よ あの美しい人に
「お分かりでしょう かのお方は日々を数えているのですよ
あたしのハトよ 翼を広げて大急ぎで
帰ってきて あたしたちの愛の巣に」 と


ベルリオーズの有名な歌曲集「夏の夜」でも取り上げられたゴーティエの詩、もともとの原詩は8節からなるかなり長いもので、ベルリオーズの方は冒頭の3節のみを取り上げて繰り返し使い回すという形を取っておりました。ビゼーの方は1,2,4,5,6,8
節を取り上げているので、全体の詩の流れは概ねとらえているように思います。
男性の詩人の書いた詩ですので、帰って来いと呼びかけている相手はどうも女性のようですが、この曲を歌うのが女声のことが多いようですし、イメージ的にも女性から男性への呼びかけのように私には思えましたので日本語訳はそのようにしております。

( 2014.07.05 藤井宏行 )


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