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Le vieux vagabond   S.304  
 
老いた浮浪者  
    

詩: ベランジェ (Pierre-Jean de Béranger,1780-1857) フランス
      Le vieux vagabond

曲: リスト (Franz Liszt,1811-1886) ハンガリー   歌詞言語: フランス語


Dans ce fosse cessons de vivre.
Je finis vieux,infirme et las.
Les passants vont dire: il est ivre.
Tant mieux! Ils ne me plaindront pas.
J'en vois qui detournent la tete;
D'autres me jettent quelques sous.
Courez vite; allez a la fete.
Vieux vagabond,je puis mourir sans vous.

Oui,je meurs ici de vieillesse
Parce qu'on ne meurt pas de faim.
J'esperais voir de ma detresse
L'hopital adoucir la fin.
Mais tout est plein dans chaque hospice,
Tant le peuple est infortune.
La rue,helas! fut ma nourrice.
Vieux vagabond,mourons ou je suis ne.

Aux artisans,dans mon jeune age,
J'ai dit: Qu'on m'enseigne un metier.
Va,nous n'avons pas trop d'ouvrage,
Repondaient-ils,va mendier.
Riches,qui me disiez; Travaille,
J'eus bien des os de vos repas;
J'ai bien dormi sur votre paille.
Vieux vagabond,je ne vous maudis pas.

J'aurais pu voler,moi,pauvre homme;
mais non: mieux vaut tendre la main.
Au plus,j'ai derobe la pomme
Qui murit au bord du chemin.
Vingt fois pourtant on me verrouille
Dans les cachots,de par le roi.
De mon seul bien on me depouille.
Vieux vagabond,le soleil est a moi.

Le pauvre a-t-il une patrie?
Que me font vos vins et vos bles,
Votre gloire et votre industrie,
Et vos orateurs assembles?
Dans vos murs ouverts a ses armes,
Lorsque l'etranger s'engraissait,
Comme un sot j'ai verse des larmes,
Vieux vagabond,sa main me nourissait.

Comme un insecte fait pour nuire,
Hommes,que ne m'ecrasiez-vous?
Ah! Plutot vous deviez m'instruire
A travailler au bien de tous.
Mis a l'abri du vent contraire,
Le ver fut devenu fourmi;
Je vous aurais cheris en frere.
Vieux vagabond,je meurs votre ennemi.

この堀の中で人生を終えるのだ
老いて、弱り、疲れ果てて死ぬのだ
通りすがりの者どもは言いたいのだろう 「酔っ払いめ!」と
それでもまだましだ、 彼らは文句をつけてこないから
私は彼らが顔をそむけるのを見る
他の者たちはわしに小銭を投げてよこしたりもする
急いで行くがいい、祭りへでも行け
老いた浮浪者のわしは お前らなどなしで死ねるのだから

そうだ、わしはここで年老いて死ぬのだ
なぜなら飢えて死ぬのではないからだ
わしは自分のこの困窮を
救護院が最後は和らげてくれるのを望んでいた
だが どの救護院もいっぱいで
人々はとても不幸だ
通りが、ああ!わしの乳母であったのだから
老いた浮浪者は、この生まれた場所で死ぬのだ

職人たちに、わしは若い頃
頼んだことがある:技術を教えてくれと
あっちへ行け、われらには十分な仕事はない
そう彼らは答えた、乞食でもするがいいと
金持ちどもは、わしに言った 働け と
わしはたくさんの肉体労働をした
ムシロの上でもぐっすり眠った
老いた浮浪者は、お前らを呪いはしない

盗みもできた、わしのような貧乏人には
だがだめだ、物乞いする方がずっと良い
かつてリンゴを盗んだことがある
道端で熟しているリンゴを
だが二十回もぶちこまれたのだ
王様の牢屋の中へ
たったひとつのわしの持ち物すら奪い取られたのだ
老いた放浪者の、太陽はわしのものだったのだが

この哀れな者に祖国はあったのか?
わしにとって何なのだ お前のワインは、穀物は
お前の栄光、お前の産業
そしてお前の代表者の議会とは?
お前の壁が武力によってこじ開けられ
異国人たちが膨張してきたときに
愚か者のようにわしは涙を流したのだぞ
老いた浮浪者に、奴らの手は食べ物をくれたのだ

一匹の虫、人に害を与えるものとして
人間共よ、どうしてお前たちはわしを叩き潰さなかったのだ?
ああ!そうせぬのだったらわしに教えてくれねばならなかったのだ
他人に役立つためにどうやって働くのかを
こんな逆風から逃れて
この蛆虫は働きアリにもなったであろうに
わしもお前たちを兄弟のように愛したであろうに
老いた浮浪者は、お前たちの敵となって死ぬ


フランツ・リストにはいくつかおやっと思わせるような詩の選択の歌曲がありますが、これもそのひとつ、フランス革命期に活躍した反骨のシャンソン歌手&詩人のベランジェの詞につけた、不幸な境遇にある老人への共感にあふれたこの歌です。いつの時代にも、どこの国にでもありそうなお話を重々しいモノローグとして鮮烈な歌曲にしているのです。フィッシャー=ディースカウの歌った見事な録音(DG)もあるこの歌、実はベランジェ自身が曲をつけて歌ったものも現代においても再現されていて耳にすることができるのです。こちらは現代のシャンソンにつながるような流麗なメロディ、まるでパリの街角でアコーディオンを手に歌われても不思議でないような愛らしい歌でした。リストの激しい怒りを込めた曲と何と違うことでしょうか。それがまた面白いところでもあるのですが。

( 2014.05.04 藤井宏行 )


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