De tous les printemps du monde FP 120 Figure humaine |
この世のすべての春の中で 人間の顔 |
De tous les printemps du monde, Celui-ci est le plus laid Entre toutes mes façons d'être La confiante est la meillure L'herbe soulève la neige Comme la pierre d'un tombeau Moi je dors dans la tempête Et je m'éveille les yeux clairs Le lent le petit temps s'achève Où toute rue devait passer Par mes plus intimes retraites Pour que je rencontre quelqu'un Je n'entends pas parler les monstres Je les connais ils ont tout dit Je ne vois que les beaux visages Les bons visages sûrs d'eux mêmes Sûrs de ruiner bientôt leurs maîtres |
この世のすべての春の中で 今年は最も醜い春だ 私のあらゆる生き方の中では 信頼することが最も素晴らしい 草が雪を持ち上げる まるでそれが墓石であるかのように だが私は嵐の中で眠り そして輝く目をして目覚める ゆっくりした短い時間が終わる そこではすべての道が通らねばならないのだ 私の最も大切な秘密の中を 私が誰かに出会うためには 私には聞こえない 怪物どもが言っていることを 私は奴らを知っている 奴らは全てを喋ったのだ 私は美しい顔しか見ない 自分自身を真に知る善き顔だけを きっともうすぐだ 彼らの支配者どもが滅びるのも |
アカペラの混声合唱でプーランクはいくつもの傑作を残しましたが、これはその中でも最も素晴らしい作品ではないでしょうか。1943年という第二次大戦真っただ中の時期に、対独レジスタンスにも参加していた詩人エリュアールの詩につけた一連の曲は鬼気迫るような壮絶さで聴き手に迫って参ります。詩は例によって非常に難解ですのでうまく訳せるかどうか自信はないのですが、エリュアール&プーランクの作品群の中でこれを取り上げない訳には参りませんので、無茶を承知で訳詞を順次アップしていきます。
第1曲は、男声の導入で聖歌のように厳かに始まりますが、「最も醜い le plus laid」のところで怒りの感情が爆発します。最初の2行を今度は女声で繰り返しますのでこのle plus laidはいやでも心に残ります。そこからは音楽は内省的に、透明な美しさを響かせながら流れて行きますが、底には怒りがふつふつとたぎっているようです。最後の「彼らの支配者が leurs maîtres」は再び力強さを見せて曲を閉じます。
( 2014.04.05 藤井宏行 )