Bonne journée FP 86 Tel jour telle nuit |
良き日 ある日ある夜 |
Bonne journée j’ai revu qui je n’oublie pas Qui je n’oublierai jamais Et des femmes fugaces dont les yeux Me faisaient une haie d’honneur Elles s’enveloppèrent dans leurs Sourires Bonne journee j’ai vu mes amis sans soucis Les hommes ne pesaient pas lourd Un qui passait Son ombre changée en souris Fuyait dans le ruisseau J’ai vu le ciel très grand Le beau regard des gens privés de tout Plage distant où personne n’aborde Bonne journée qui commença melancolique Noire sous les arbres verts Mais qui soudain trempée d’aurore M’entra dans le cœur par surprise. |
良き日 私は再び会った あの忘れ得ぬ人に これからも決して忘れぬであろう人に そして女たちの移り気な眼差しが 私を栄光の生け垣としたのだ 彼女たちは自らを包んでいた ほほ笑みで 良き日 私は会った 気心知れた友人たちと 連中は重苦しくも鬱陶しくもないのだ ひとりの通りすがりの男の 影がハツカネズミに変わり 側溝の中へと逃げ込む程であった 私はとても広い空を見た すべてを奪われた人の美しい眼差しを 誰も近づけぬ彼方の岸辺を 良き日 憂鬱の始まる日 黒々と緑の木々の下で しかし突然に夜明けに浸るように 思いがけなく私の心に入ってきたのだ |
ポール・エリュアールの詩集「豊かな瞳」は1936年、新婚早々の詩人の妻ニエッシュに贈られた詩集です。その出版された同じ年に早くもプーランクはここから9篇を選び歌曲集を書きました。これがこの「ある日ある夜」です。プーランクらしい伸びやかなさにあふれた魅力的な歌曲集ですが、なぜかあまり取り上げられることは多くありません。ともかく詩が難解で、歌のイメージが捉えにくいことにも一因があるのかも知れません。参照した英訳や邦訳も解釈がばらばらだったりしますので、翻訳者の方も苦労されておられるのが痛いほど分かります。
さて、第1曲目の詩はこの詩集の中でも比較的有名で、邦訳のあるエリュアール詩集の中にもしばしば取り上げられています。そこでは詩の題が「パブロ・ピカソに」となっており、詩人とも親交のあった画家ピカソのことが描かれているのでしょうか。何かいわく言い難い期待感のようなものがあふれ出してくる生き生きした音楽はとても心地よい響きです。
( 2014.01.18 藤井宏行 )