Am Scheideweg Op.28-1 Drei Satiren |
分かれ道で 三つの風刺 |
Tonal oder atonal? Nun sagt einmal in welchem Stall in diesem Fall die grössre Zahl, dass man sich halten kann am sichern Wall. Nur kein Schade! |
調性か それとも無調か? さあ言え どちらの厩舎に この場合には 大きい方の数があるかを 人がしがみつける しがみつける丈夫な壁が 後悔することなく! |
作品27に引き続いて1925年の混声合唱作品がもうひとつ、あちらにも作曲者自身の詩による自己主張の強い曲が2曲ありましたが、ここでまたシェーンベルクはやらかしてくれました...
ブーレーズの録音したCDでのクリュトゥス・ゴットヴァルトの解説に書かれておりましたが、シェーンベルク自身の言葉で「あるとき同時代の若い連中に寄ってたかって攻撃され、それにすっかり腹を立てて書いたものです 私に喧嘩を売ったらどうなるか 思い知らせてやるために書きました」とあり(まあ解説などなくても分かるのではありますが)、かなり痛烈なスパイスを効かせた3曲です。
第1曲目はTonal(調性)の言葉にドミソの和音がついて、これがしつこいくらいに繰り返される中、詩の他の言葉が断片的に繰り返されるカノン、結構辛辣な言葉で、革新的な道と保守的な道との間を逡巡している同時代の作曲家たちが批判されています。誰という名は挙げられていませんが、このようなどっちつかずの日和見主義者はきっと大勢いたことでしょうから、けっこう多くの人が念頭に置かれていたのではないかと思われます。
( 2013.11.02 藤井宏行 )