Mond und Menschen Op.27-3 4 Stücke für gemischten Chor |
月と人間 四つの混声合唱曲 |
Solang wir auf der Erde sind,erblicken wir Den Mond in seinem Märchenglanz,der nie vergeht. So wie das Wasser still des Flusses Laufe folgt, So wandert er in jeder Nacht die sichre Bahn. Nie sehen wir,daß er auf seiner Wandrung stockt, Noch daß er einen kleinen Schritt sith rückwärts kehrt. Dagegen wir verwirrte Menschen: unstet ist Und ruhlos alles,alles,was wir denken,was wir tun. |
この地上にある限り われらは見る 月が その幻想的な輝きをあせることなく照らし出すのを ちょうど水が静かに 川の流れに従って行くように 月は毎晩 決まった軌道を進んで行くのだ われらは決して見ることはない 月がそのさすらいの途中で止まったり ほんの小さな一歩でも後ろに下がったりすることなど その一方 われら惑える人間たちは不安定で 落ち着きないのだ すべてに すべてにおいて 考えることも 行うことも |
作品27の混声合唱曲。後半の2曲はハンス・ベートゲの訳詩集「中国の笛」より。この詩は漢詩らしからぬえらく哲学的な内容です。唐の詩人・張若虚(Tschan-Jo-Su)の「春江花月夜」が原詩だという解説を見つけましたので調べてみましたところ、確かにそれらしい一節がこの詩の中にはありました。ただ、ベートゲの流儀でたいへんな翻案をしておりますので、かなり原詩と内容は変わってしまっております。
原詩の当該部分(長い詩のほんの一部です)を拾い上げますと
江天一色無繊塵
皎皎空中孤月輪
江畔何人初見月
江月何年初照人
人生代代無窮已
江月年年祗相似
意味は各自にてお調べ頂けますと幸いです。多少人生と月とを比べてはおりますが、それほど哲学的な詩ではありませんでした。
シェーンベルクのつけた音楽は不思議な浮遊感のある幻想的なもの。十二音音楽に非常に良く合った詩と言えるかも知れません。
( 2013.10.18 藤井宏行 )