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Der Dichter,als Epilog    
  Die schöne Müllerin
詩人より エピローグとして  
     美しき水車小屋の娘

詩: ミュラー,ヴィルヘルム (Johann Ludwig Wilhelm Müller,1794-1827) ドイツ
    Die schöne Müllerin 25 Der Dichter,als Epilog

曲: シューベルト (Franz Peter Schubert,1797-1828) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


Weil gern man schließt mit einer runden Zahl,
Tret' ich noch einmal in den vollen Saal,
Als letztes,fünf und zwanzigstes Gedicht,
Als Epilog,der gern das Klügste spricht.
Doch pfuschte mir der Bach in's Handwerk schon
Mit seiner Leichenred' im nassen Ton.
Aus solchem hohlen Wasserorgelschall
Zieht Jeder selbst sich besser die Moral;
Ich geb' es auf,und lasse diesen Zwist,
Weil Widerspruch nicht meines Amtes ist.

So hab' ich denn nichts lieber hier zu thun,
Als euch zum Schluß zu wünschen,wohl zu ruhn.
Wir blasen unsre Sonn' und Sternlein aus --
Nun findet euch im Dunkel gut nach Haus,
Und wollt ihr träumen einen leichten Traum,
So denkt an Mühlenrad und Wasserschaum,
Wenn ihr die Augen schließt zu langer Nacht,
Bis es den Kopf zum Drehen euch gebracht.
Und wer ein Mädchen führt an seiner Hand,
Der bitte scheidend um ein Liebespfand,
Und giebt sie heute,was sie oft versagt,
So sei des treuen Müllers treu gedacht
Bei jedem Händedruck,bei jedem Kuß,
Bei jedem heißen Herzensüberfluß:
Geb' ihm die Liebe für sein kurzes Leid
In eurem Busen lange Seligkeit!

人は切りの良い数字で終わるのがお好きなゆえ
私もまた満員の会場へと登場させて頂きましょう
この最後が 二十と五番目の詩になるからです
エピローグとして 気の利いたことを申し上げましょう
ですが小川の奴め もう私の邪魔をしております
湿っぽい音で弔辞など発しおりまして
ただそのようなうつろな水のオルガンの響きからでも
皆様ご自身で引き出すことができましょう より良い教訓を
私は引きさがり 論争はそのままにしておきましょう
異論をはさんだりするのは私の役目ではございませんゆえ

そして私がここですることは他でもなく
皆様方に終わりにあたり申し上げることです しっかりお休みくださいと
ここの太陽やら星やらは片付けますゆえに
皆様お気をつけください 暗がりの中の家へのお帰りは
そして皆様方が明るい夢が見たいとお望みならば
水車と水の泡のことをお考えください
皆様方がお目を長い夜にお閉じになって
頭がぐるぐる回り始めるように感じられるまで
それから娘さんを腕に抱かれている方がいらっしゃいましたら
お別れのときには 愛の証をお願いしてみてください
彼女は今日はくれるかもしれませんよ いつも拒んできたものを
そうしましたらあの誠実な粉ひき職人のことも考えてやってください
彼女と握手するときに 彼女とキスをするときに
熱い心の思いがあふれ出すとき毎に
彼にも愛を与えてやってください 短い苦しみの代わりに
それでは皆様方の胸の中に永久の幸福を!


前の子守歌でしっとりとフェードアウトしたあとにプロローグと同じ饒舌な詩人の言葉。今までの物語をあっさりと相対化してしまいます。これはこれで色々と考えさせてくれますが、シューベルトの作りだした世界とは相容れないものがありますね。
知的な興味は惹かれるものの、これら省略された詩に音楽をつけて全体を通して聴いてみたいという気にはなりません。
(世の中は広いですから、シューベルトの取り上げなかった5篇の詩にメロディをつけて、ミュラーの詩全部を通しで音楽として聴けるようにした作曲家が居ないとは申しませんが、そのような試みが全くと言って良いほど知られないのはやはりその違和感でしょう。
しかしプロローグといいこのエピローグといい、実に訳していて面白いです。生きの良い言葉の連射がうまく日本語でも表せていれば良いのですが...

( 2013.10.05 藤井宏行 )


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