Le matelot qui tombe à l'eau L 47 |
海に落ちた水夫 L47 |
On entend un chant sur l'eau Dans la brune : Ce doit être un matelot Qui veut se jeter à l'eau Pour la lune. La lune eclaire le flot Qui sanglote, Le matelot tombe à l'eau... On entend traîner sur l'eau Quelques notes. |
水の上から歌が聞こえてくる 暗がりの中から あれは船乗りに違いない 思い切って水に飛び込んだのだ 月を求めて 月は波を照らしている すすり泣く波を 船乗りは船の外に落ちる... 水に漂うのは いくつかの調べ |
ショーソンが好んでメロディをつけていた詩人ブショールの詩につけた作品、ドビュッシーでは珍しいですがけっこう味わい深い歌となりました。短い詩はショーソンの著名な歌曲集のタイトルともなった詩集「愛と海の詩」より。これは海を描き出した詩ですね。こういう情景を愛したドビュッシーにはぴったりのテーマでしょう。非常に淡々と幻想的なメロディをつけております。
この曲、タイトルがブショールの原題である「悲しい歌 Chanson triste」となっているものもあります。ドビュッシーのメロディーが流麗に流れる爽やかな舟歌といった趣きなので、このタイトルは私はそぐわないように思います。この曲を初めて録音したデッセーの盤の表記にタイトルの方は従うことにしました。
( 2013.09.22 藤井宏行 )