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L'archet   L 46  
 
弓  
    

詩: クロ (Charles Cros,1842-1888) フランス
    Le Coffret de Santal - Chansons perpétuelles 11 L'archet

曲: ドビュッシー (Claude Achille Debussy,1862-1918) フランス   歌詞言語: フランス語


Elle avait de beaux cheveux,blonds
Comme une moisson d'août,si longs
Qu'ils lui tombaient jusqu'aux talons.

Elle avait une voix étrange,
Musicale,de fée ou d'ange,
Des yeux verts sous leur noire frange.

Lui,ne craignait pas de rival,
Quand il traversait mont ou val,
En l'emportant sur son cheval.

Car,pour tous ceux de la contrée,
Altière elle s'était montrée,
Jusqu'au jour où il l'eut rencontrée.

L'amour la prit si fort au cœur,
Que pour un sourire moqueur,
Il lui vint un mal de langueur.

Et dans ses dernières caresses:
Fais un archet avec mes tresses,
Pour charmer tes autres maîtresses.

Puis,dans un long baiser nerveux,
Elle mourut. Suivant ses vœux,
Il fit l'archet de ses cheveux.

Comme un aveugle qui marmonne,
Sur un violon de Crémone
Il jouait,demandant l'aumône.

Tous avaient d'enivrants frissons
A l'écouter. Car dans ses sons
Vivaient la morte et ses chansons.

Le roi,charmé,fit sa fortune.
Lui,sut plaire à la reine brune
Et l'enlever au clair de lune.

Mais chaque fois qu'il y touchait
Pour plaire à la reine,l'archet
Tristement le lui reprochait.

Au son du funèbre langage,
Ils moururent à mi-voyage.
Et la morte reprit son gage.

Elle reprit ses cheveux blonds
Comme une moisson d'août,si longs
Qu'ils lui tombaient jusqu'aux talons.


彼女は美しいブロンドの髪をしていた
八月に収穫される麦のように とても長く
そのかかとに届くほどだった

彼女は不思議な声をしていた
音楽のような 妖精や天使たちの
その黒いまつ毛の下には緑色の瞳

彼はライバルを恐れなかった
彼が山や谷間を越えて行くときに
彼女を奪い取り 馬に乗せて

なぜならこの国のすべての男たちに
誇りを彼女は示していたからだ
彼と出会ったその日までは

愛は彼女の心を激しく奪ったのだ
あざけるような笑顔をしながら
そして彼女には大いなる苦悩が訪れた

そして最後の愛撫のときに
「私の三つ編みで弓を作って
 他の愛人たちを魅惑して頂戴」

そして 心震わす長いくちづけの後
彼女は死んだ 彼女の願いにこたえて
彼は彼女の髪で弓を作った

盲目の男がつぶやくように、
クレモナのヴァイオリンを
彼は弾きながら 施しを求めた

皆 震えるように酔いしれた
それを聞いた者は なぜならその音の中に
死んだ女の歌声が息づいていたからだ

王もまた 魅了されて彼に褒美を与えた
彼は黒髪の女王を喜ばせようと
月光の下に誘い出した

だがいつでも 彼が弓に触れて
女王を喜ばせようとすると 弓は
悲しそうに彼を非難するのだった

その悲しげな言葉のもと
彼らは旅の途中で死んでしまった
そして死んでいた女はその誓いを取り戻した

彼女はブロンドの髪を取り戻したのだ
八月に収穫される麦のように とても長い
そのかかとに届くほどの


幻想的な物語を紡ぎ出すクロの詩に若きドビュッシーがメロディをつけています。ごく最近に発見された曲のようで、2012年にリリースされたナタリー・デッセーのドビュッシー歌曲集で世界初録音となっていました。幻想的と申しましたが寓意がなんだか良く分からないところもあって彼のメロディもいまひとつノリが悪いです。それとこれはきちんと書いておかないとなりませんが、ドビュッシーの曲では詩の途中、彼女の髪で弓が作られたところで終わってしまい、その後の物語が音楽になっておりません。曲の終わり方がメロディだけ聴いても尻切れトンボの感じなので、もしかしなくてもこの曲、未完で終わった作品なのかも知れません。ここでは詩を最後まで取り上げて訳をつけて置きましたので曲を聴かれるときはご注意ください。
ちなみにこの「弓」というのは矢をつがえて飛ばす武器の弓ではなく、ヴァイオリンのような弦楽器を鳴らす弓だったのですね。

( 2013.09.22 藤井宏行 )


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