Thränenregen Op.25 D 795 Die schöne Müllerin |
涙の雨 美しき水車小屋の娘 |
Wir saßen so traulich beisammen Im kühlen Erlendach, Wir schauten so traulich zusammen Hinab in den rieselnden Bach. Der Mond war auch gekommen, Die Sternlein hinterdrein, Und schauten so traulich zusammen In den silbernen Spiegel hinein. Ich sah nach keinem Monde, Nach keinem Sternenschein, Ich schaute nach ihrem Bilde, Nach ihren Augen allein. Und sahe sie nicken und blicken Herauf aus dem seligen Bach, Die Blümlein am Ufer,die blauen, Sie nickten und blickten ihr nach. Und in den Bach versunken Der ganze Himmel schien Und wollte mich mit hinunter In seine Tiefe ziehn. Und über den Wolken und Sternen, Da rieselte munter der Bach Und rief mit Singen und Klingen: Geselle,Geselle,mir nach! Da gingen die Augen mir über, Da ward es im Spiegel so kraus; Sie sprach: Es kommt ein Regen, Ade,ich geh nach Haus. |
ぼくたちは座っていた 仲良く一緒に 涼しいハンの木の陰に ぼくたちは一緒に見つめていた 足元でつぶやき流れる小川を 月はもう昇っていて 小さな星たちもあとから出てきた そして仲良く一緒にのぞき込んでいた 銀色の水の鏡の中を ぼくは月なんか見なかったし 星の光も ぼくはあの子の姿だけを追っていた あの子の瞳だけを そして見ていた あの子がうなずき 見つめているのを 幸せそうな小川の方を 岸辺の青い花たちも うなずき見つめてた あの子の真似をして そして小川の中へと沈み込んでいた 空全体の輝きは そしてぼくも溺れようと望んでいた その水底の深みへと そして雲や星たちの上には 陽気にささやく小川が流れていた 歌いさざめきながら呼んでいた 友よ 友よ 私についておいでと! そのときぼくの目に涙があふれ 水の鏡にさざ波を立てた あの子は言った 雨が降ってきたみたいね さよなら あたしは家に帰るわ って |
タイトルだけ見るととても悲しそうな歌に思えますが、おそらくは若者と水車屋の娘との初デートの情景です。しかし若い頃こんな経験をされた記憶のある方は多いのではないかと思いますが何とも切ないデートですね。若者は仲良く一緒にいたつもりになっているようですが、どう見ても間がもっていないような感じで、何となくしらっとした雰囲気が二人の間には漂っていた気配が濃厚です。そのあたりが淡々と流れるメロディのほのかな陰りとなって見事に描写されています。全曲を通して聴くとあまり目立たない1曲ですが、実によくできた傑作だと思います。
( 2013.06.23 藤井宏行 )