Solfeggi |
ソルフェージュ |
歌詞はありません
|
|
こういうアイディアは、現代の目端の利く作曲家なら誰でも考えそうなことですが、シチェドリンの3曲からなるこの曲、初めて聴いた時は「うーん。巧い」と思わず唸らされてしまいました。曲想としてはムソルグスキーからショスタコービッチにつながる流れの重厚系の歌曲なのですが、これに「ソミミファレラ・シシシシド」とかいう歌詞を付けて技巧的に歌われた日にはそのインパクトたるや凄まじいものがあり、一度聴いたらメロディが頭から離れなくなってしまいました。1曲目のNon Legatoからして叩き付けるようなピアノと絶叫するような「ソシラソレレレ」との戦いが聴くものをあっと言わせますし、2曲目のLegatoもボリス・ゴドノフの鐘の場面を彷彿とさせるような緊迫感です。
しかし何といっても無伴奏で始まり、やがてピアノとのカノンで技巧の限りを尽くす3曲目Staccatoが一番強烈でしょう。
ラフマニノフとか、プロコフィエフとか、ヴォカリーズ(母音唱法)でロシア情緒を見事に表現した曲を書いた人は他にもいますけれど、ソルフェージュでそれをやってしまうところがこの才人の凄さなのでしょう。
私が聴いたのはドルカノヴァ(Mezzo)のRussian Disc盤ですが、歌い方にも鬼気迫るものがあり必聴です。(RD CD11 030)
( 1999.05.02 藤井宏行 )