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Tauben von Gurre (STIMME DER WALDTAUBE)    
  Gurrelieder Teil 1
グレの鳩たちよ (森鳩の歌)  
     グレの歌 第1部

詩: アルノルト (Robert Franz Arnold,1872-1938) ドイツ
      Gurre Duer! Sorg mig tynger 原詩: Jens Peter Jacobsen ヤコブセン,Gurresange 6

曲: シェーンベルク,アルノルト (Arnold Schonberg,1874-1951) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


Tauben von Gurre! Sorge quält mich,
Vom Weg über die Insel her!
Kommet! Lauschet!
Tot ist Tove! Nacht auf ihrem Auge,
Das der Tag des Königs war!
Still ist ihr Herz,
Doch des Königs Herz schlägt wild,
Tot und doch wild!
Seltsam gleichend einem Boot auf der Woge,
Wenn der,zu dess' Empfang
Die Planken huldigend sich gekrümmt,
Des Schiffes Steurer tot liegt,
Verstrickt in der Tiefe Tang.
Keiner bringt ihnen Botschaft,
Unwegsam der Weg.
Wie zwei Ströme waren ihre Gedanken,
Ströme gleitend Seit' an Seite.
Wo strömen nun Toves Gedanken?
Die des Königs winden sich seltsam dahin,
Suchen nach denen Toves,
Finden sie nicht.
Weit flog ich,Klage sucht' ich,fand gar viel!
Den Sarg sah ich auf Königs Schultern,
Henning stützt' ihn;
Finster war die Nacht,eine einzige Fackel
Brannte am Weg;
Die Königin hielt sie,hoch auf dem Söller,
Rachebegierigen Sinns.
Tränen,die sie nicht weinen wollte,
Funkelten im Auge.
Weit flog ich,Klage sucht' ich,fand gar viel!
Den König sah ich,mit dem Sarge fuhr er,
Im Bauernwams.
Sein Streitross,das oft zum Sieg ihn getragen,
Zog den Sarg.
Wild starrte des Königs Auge,suchte
Nach einem Blick,
Seltsam lauschte des Königs Herz
Nach einem Wort.
Henning sprach zum König,
Aber noch immer suchte er Wort und Blick.
Der König öffnet Toves Sarg,
Starrt und lauscht mit bebenden Lippen,
Tove ist stumm!
Weit flog ich,Klage sucht' ich,fand gar viel!
Wollt' ein Mönch am Seile ziehn,
Abendsegen läuten;
Doch er sah den Wagenlenker
Und vernahm die Trauerbotschaft:
Sonne sank,indes die Glocke
Grabgeläute tönte.
Weit flog ich,Klage sucht' ich und den Tod!
Helwigs Falke
War's,der grausam
Gurres Taube zerriss!

グレの鳩たちよ!不安が私をさいなむ
島を越えてここへ来ておくれ!
来て! 聞いて! 
トーヴェが死んだ!夜が彼女の目に降りた
王様の太陽であったその目の上に!
彼女の心臓は静まり
しかし王の心臓は激しく打っている
死んでいるが 激しいのだ
不思議に似ている 波の上の小舟に
歓迎しようと
舟板が傾き
舵取りが死んで
水底の藻に絡まれて横たわっている
誰も彼らには便りをよこさず
道は通れない
彼らの思いはふたつの川のよう
並んで別々に流れている
いったいどこを流れているのだ トーヴェの思いは?
王の思いは奇妙にうねりつつ
トーヴェの思いを探し求めるが
それを見つけることはない
彼方へと私は飛び 嘆きを探し それをたくさん見つけた!
柩が王の肩の上にあるのを見た
ヘンニングが彼を支えていた 
夜は暗く ただ一本の松明が
道の上で燃えていた
王妃がそれを掲げていたのだ バルコニーの上高く
復讐の思いで
涙が 彼女はそれを決して流そうとはしてはいなかったが
目に光っていた
彼方へと私は飛び 嘆きを探し それをたくさん見つけた!
王を私は見た 柩とともに歩んでいた 
農夫の胴衣を着て
彼をしばしば戦場へと運んだ馬が
柩を曳いていた
王の目は荒々しくさまよい 求めていた 
ある眼差しを
王の心は奇妙に耳を傾けていた 
ある言葉に
ヘンニングが王に話しかけた 
だが王はずっと探し続けていたのだ 言葉と眼差しを
王はトーヴェの柩を開け
見つめ 耳を傾ける くちびるを震わせながら
トーヴェは沈黙している!
彼方へと私は飛び 嘆きを探し それをたくさん見つけた!
ひとりの僧が綱を引こうとする
夕べの鐘が響く
僧は車を引く人を見て
悲しい知らせを知った
太陽が沈み 鐘が
弔いの音を響かせた
彼方へと私は飛び 嘆きを探した そして死を!
ヘルヴィヒの鷹が
無残にも
グレの鳩を引き裂いたのだ!


ここから5分ほどの間奏曲に入ります。王とトーヴェ、ふたりの愛を紡ぐような濃密な音楽が力強く盛り上がって絶頂を迎え、それから穏やかな朝を迎えるかのようにゆったりとした音楽が静まって行きます。しかし最後のところで突然暗転し、トーヴェの死を告げるこの不安と嘆きに満ちた山鳩の歌に入ります。
この歌はメゾソプラノ又はアルトによって歌われることが普通で、重々しい影がそれまでの熱い愛のメロディとすばらしいコントラストを描き出しています。
もちろん暗いメロディばかりではなく、美しい愛の思い出を示す甘美なメロディにもあふれて表情豊かです。
歌詞では説明がないですが、ヘンニングというのは王の家来、そしてヘルヴィヒとあるのはトーヴェに嫉妬して彼女を毒殺した王妃の名です。

この曲はよく単独でも演奏されますがそれだけの重みのあるところでしょうか。

( 2013.01.26 藤井宏行 )


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