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Du wunderliche Tove    
  Gurrelieder Teil 1
不思議なお前 トーヴェよ  
     グレの歌 第1部

詩: アルノルト (Robert Franz Arnold,1872-1938) ドイツ
      Vidunderlige Tove! 原詩: Jens Peter Jacobsen ヤコブセン,Gurresange 5-5

曲: シェーンベルク,アルノルト (Arnold Schonberg,1874-1951) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


Du wunderliche Tove!
So reich durch dich nun bin ich,
Dass nicht einmal mehr ein Wunsch mir eigen.
So leicht meine Brust,
Mein Denken so klar,
Ein wacher Frieden über meiner Seele.
Es ist so still in mir,
So seltsam stille.
Auf der Lippe weilt brückeschlagend das Wort,
Doch sinkt es wieder zur Ruh.
Denn mir ist's,als schlüg in meiner Brust
Deines Herzens Schlag,
Und als höbe mein Atemzug,
Tove,deinen Busen.
Und unsre Gedanken seh' ich
Entstehn und zusammengleiten.
Wie Wolken,die sich begegnen,
Und vereint wiegen sie sich in wechselnden Formen.
Und meine Seele ist still,
Ich seh in dein Aug' und schweige,
Du wunderliche Tove.

不思議なお前 トーヴェよ!
お前のため 今 私はとても満ち足りて
もはやこの上に願うことはない
わが胸は軽やかで
わが思いは晴れやかだ
目覚めた平安がわが魂の上にはある
わしの中はとても静かだ
不思議なほどに静かだ
くちびるには橋をかけようと言葉が浮かぶが
それは再び安らぎの中に沈んでゆく
なぜなら私の中で打っているからだ 
お前の心臓の鼓動が
そして私の息が高めるのだ
トーヴェよ お前の胸を
われらの思いが見える
立ち現われて一緒に流れて行くのが
互いに出会った雲同士のように
そして形を変えながら揺れている
わしの魂は静かだ
わしはお前の瞳を見つめ 沈黙する
不思議なお前 トーヴェよ


延々と続いたヴァルデマル王とトーヴェとのやり取りもこれで終わりです。ひとつ前のトーヴェの濃密な歌を受けるとどうしても地味な印象ですが、愛の幸せを表現する音楽としては十分濃厚です。ここにもトリスタンの余韻が聞こえてきます。

このあと長いオーケストラの間奏が入り、情景は一変して悲痛な「山鳩の歌」に続いて行きます。

( 2013.01.19 藤井宏行 )


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