Rêverie L 8 |
夢想 |
Le zéphir à la douce haleine Entr'ouvre la rose des bois, Et sur les monts et dans la plaine, Il féconde tout à la fois. Le lys et la rouge verveine S'échappent fleuris de ses doigts. Tout s'enivre à sa coupe pleine Et chacun tréssaille à sa voix. Mais il est une frêle plante Qui se retire et fuit tremblante. Le baiser qui va la meurtrir. Or,je sais des âmes plaintives Qui sont comme les sensitives, Et que le bonheur fait mourir. |
西風は 甘い吐息で 森のバラを半ば目覚めさせ それから 山の上や 野原で あらゆるものを一度に豊かにするのだ ユリや赤いバーヴェナは 血を流しつつ西風の指から逃れるが 皆酔いしれる その一杯の盃に そして皆震えるのだ その歌声に だが それはか弱い植物だ 引きさがり 震えて逃げるのは 傷つけるそのくちづけを けれど私はそんな嘆きの魂を知っている それはとても繊細なゆえに 幸せのあまりに死んでしまうことを |
いかにもドビュッシー向きの幻想的な詩ですが、あまりにそのはまり具合が災いしてか、この頃の印象的な美しい歌曲群とくらべるといまひとつ影が薄くなってしまいました。美しい曲ではあるのですが、メロディの訴求力が弱いのです。まあ彼のまだ20歳にもなっていない頃の作品ですから傑作ばかりが書かれるというわけには行かないところでしょうか。
( 2012.11.10 藤井宏行 )