Vor dem Fenster Op.14-1 Acht Lieder und Romanzen |
窓辺で 8つの歌とロマンス |
“Soll sich der Mond nicht heller scheinen, Soll sich die Sonn' nicht früh aufgahn, So will ich diese Nacht gehn freien, Wie ich zuvor auch hab' getan.” Als er wohl auf die Gasse trat, Da fing er an ein Lied und sang, Er sang aus schöner,aus heller Stimme, Daß sein fein's Lieb zum Bett aussprang. “Steh still,steh still,mein feines Lieb, Steh still,steh still und rühr dich nicht, Sonst weckst du Vater,sonst weckst du Mutter, Das ist uns beiden nicht wohlgetan.” “Was frag' ich nach Vater,was frag' ich nach Mutter, Vor deinem Schlaffenster muß ich stehn, Ich will mein schönes Lieb anschauen, Um das ich muß so ferne gehn.” Da standen die zwei wohl beieinander Mit ihren zarten Mündelein, Der Wächter blies wohl in sein Hörnelein, Ade,es muß geschieden sein. Scheiden,Scheiden über Scheiden, Scheiden tut meinem jungen Herzen weh, Daß ich mein schön Herzlieb muß meiden, Das vergeß' ich nimmermehr. |
月がこれ以上明るく輝かず 太陽が早く昇ることがないのなら ぼくは今晩 口説きに行こう 昔やっていたみたいに 彼は小道に踏み込むと 歌を一曲歌い始めた 彼は歌った 美しく 朗らかな声で おかげで彼の可愛い恋人はベッドから飛び出してきた 静かにして 静かに あたしの恋人 静かにして 静かに じっとしててよ でないと父さんが目を覚ます でないと母さんが目を覚ます それはあたしたち二人にとってまずいことでしょ 何でぼくは父さんのことを気にする 何でぼくは母さんのことを気にする お前の寝室の窓辺に ぼくは立たずにはいられないんだ ぼくはきれいな恋人を見つめていたいんだ これからぼくは遠くにいかなくちゃならないんだから こうして二人は互いに寄り添った やさしいくちづけを交わしながら そこへ夜番が角笛を吹いた 「さよなら お別れしなくちゃ」 別れよ 別れまた別れ 別れはぼくの若い心を悲しませる ぼくのきれいな恋人とお別れしなくちゃならないなんてこと そいつをぼくは決して忘れない |
作品14の8曲は1858年の作曲。多くを民謡や古謡などの詩から得ているのが特徴です。この頃知り合ったアガーテ・フォン・ジーボルトという娘への愛が歌には込められているとも言われており、実際素朴な恋心の吐露のあるこれらの歌はいかにもブラームスらしいと言えなくもありません。第1曲目はのちに彼の編曲した49のドイツ民謡集WoO34の35曲目と同じ歌詞です。ということでオリジナルとブラームスの付けた新しいメロディとふたつを聴き比べることができるのですが、暗く沈んだオリジナルのメロディを踏襲しているようなブラームスの曲は、後半愛の心の昂ぶりに美しくロマンティックに盛り上がっていくのが面白いです。まだブラームスも若かったというところでしょうか。そのストレートさに思わずほほ笑んでしまいます。
( 2012.10.19 藤井宏行 )