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Die Georgine   Op.10-4 TrV 141  
  Acht Gedichte aus “Letzte Blätter”
ゲオルギーネ(ダリア)  
     「最後の葉」からの8つの詩

詩: ギルム (Hermann von Gilm zu Rosenegg,1812-1864) オーストリア
    Letzte Blätter  Die Georgine

曲: シュトラウス,リヒャルト (Richard Strauss,1864-1949) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Warum so spät erst,Georgine?
Das Rosenmärchen ist erzählt,
und honigsatt hat sich die Biene
ihr Bett zum Schlummer ausgewählt.

Sind nicht zu kalt dir diese Nächte?
Wie lebst du diese Tage hin?
Wenn ich dir jetzt den Frühling brächte,
du feuergelbe Träumerin,

wenn ich mit Maitau dich benetzte,
begöße dich mit Junilicht,
doch dann wärst du nicht die Letzte,
die stolze Einzige auch nicht.

Wie,Träumerin,lock' ich vergebens?
So reich' mir schwesterlich die Hand,
ich hab' den Maitag dieses Lebens
wie du den Frühling nicht gekannt;

und spät wie dir,du Feuergelbe,
stahl sich die Liebe mir ins Herz;
ob spät,ob früh,es ist dasselbe
Entzücken und derselbe Schmerz.

どうしておまえは今頃になって咲くの、ダリアよ
バラはメルヘンを語り終え
ミツバチは蜜をたっぷりと集めて
とうにまどろみの床に入ってしまったのに

この季節の夜はおまえには寒すぎはしない?
日々おまえはどうやって生きのびているの?
黄色に燃える夢見る花よ
今おまえに春を贈ることが出来たなら

五月の露でおまえを潤し
六月の陽を浴びせてあげられたら
ああ、でもそうしたらおまえは
季節の最後を飾る誇り高い花ではなくなってしまう

夢見る花よ、どうしてわたしがこんなことを言うのかわかる?
どうかわたしと姉妹になっておくれ
おまえが春を知らないように
わたしも人生の五月を知らなかったの

黄色に燃える花よ、そしておまえと同じように
遅れてきた愛がわたしの心に忍び込んできた
早く咲いても、遅く咲いても
愛の喜びと苦しみに変わりがあろうはずがない

『献呈』、『夜』、『万霊節』などの名曲を含む作品10の第4曲。それらに勝るとも劣らない名曲と思いますが、意外にも単独で取り上げられることはそれほど多くないようです。その一因にどちらかというと男声用歌曲とされていることがあるのではないでしょうか。わたしの手持ちで女声で歌われているのは作品10全曲のポップ、白井さんの二種、そしてボニーの4つで、すべてCD時代になってからの録音です。これらの女声の歌唱は、アンダースやフィッシャー=ディースカウ(二種)、シュミットといった男性陣のものより断然美しいと思いました。

その気高さと苦い内省で白井さんの歌唱に勝るものは無いと思います。しかし、遅い春の歌にしては若々し過ぎるものの、ボニーの爽やかな美声もまた魅力的で、特に第1節の”Das Rosenma:rchen ist erza:hlt”のところで歌とピアノがユニゾンになって作り出す音色はこの世のものとも思われないほど。基本的に男声好きのわたしもこの曲での女声の優位を認めないわけにはいきませんでした。

( 2003.01.19 甲斐貴也 )


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