Sonett von Petrarca Op.24 Serenade |
ペトラルカのソネット セレナード |
O könnt' ich je der Rach' an ihr genesen, Die mich durch Blick und Rede gleich zerstöret, Und dann zu größerm Leid sich von mir kehret, Die Augen bergend mir,die süßen,bösen! So meiner Geister matt bekümmert Wesen Sauget mir aus allmählich und verzehret Und blüllend,wie ein Leu,ans Herz mir fähret Die Nacht,die ich zur Ruhe mir erlesen! Die Seele,die sonst nur der Tod verdränget, Trennt sich von mir,und,ihrer Haft entkommen, Fliegt sie zu ihr,die drohend sie empfänget. Wohl hat es manchmal Wunder mich genommen, Wenn die nun spricht und weint und sie umfänget, Daß fort sie schläft,wenn solches sie vernommen. |
おお、もしも私が彼女への恨みの心を癒せるならば そのまなざしと言葉で私に破滅をもたらし そして絶大な苦しみを私に残して去って行ったあの女への その瞳を私から隠してしまった、あの甘くも邪悪な瞳を! こうして私の魂はやつれ果て 私自身を次第に吸い尽くし そして貪るのだ そして吼え立てる、ライオンのように、またわが心より飛び出す この夜に、私が安息を取ろうとした夜に! 魂は、死だけがそれを解き放つものではあるのだが 私から離れ、そして逃げ去り、 彼女のもとへ飛んで行くのだ、激しくそれを求めている人のもとへ おそらく私には時折奇跡がもたらされるであろう 魂が今 語り 泣き 彼女を抱くときに そして彼女は眠り続ける、彼女がそんなことを耳にしたときには |
シェーンベルクの作品24は室内楽アンサンブルによる「セレナード」、全部で7楽章からなる作品です。
第1楽章 行進曲(Marsch)
第2楽章 メヌエット(Menuett)
第3楽章 変奏曲(Variationen)
第4楽章 ペトラルカのソネット(Sonett von Petrarca)
第5楽章 ダンスのシーン(Tanzscene)
第6楽章 無言歌(Lied ohne Worte)
第7楽章 フィナーレ(Finare)
と、古典的な佇まいを見せる楽章構成に、彼の才気闊達な活力あふれる音楽が付けられて大変印象深い音楽となりました。クラリネット、バス・クラリネット、マンドリン、ギター、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロという楽器構成も小編成ながら華やかです。第4楽章にバリトンのソロが入り、ペトラルカの愛のソネット(第217番)のドイツ語訳の歌を歌います。Karl August Förster (1784-1841) の独訳ということで、作品8のオーケストラ歌曲集で取り上げたペトラルカの詩と同じ訳者です。この楽章は彼の書いた最初の12音技法の曲のひとつということで歌手にとっては難関なところなのでしょうが、聴いているとそれほど不自然な感じはしません。むしろ多彩な伴奏楽器との絡み合いが大変楽しく、面白い音楽です。
( 2012.09.22 藤井宏行 )