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Allerseelen   Op.10-8 TrV 141  
  Acht Gedichte aus “Letzte Blätter”
万霊節  
     「最後の葉」からの8つの詩

詩: ギルム (Hermann von Gilm zu Rosenegg,1812-1864) オーストリア
    Letzte Blätter  Allerseelen

曲: シュトラウス,リヒャルト (Richard Strauss,1864-1949) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Stell' auf den Tisch die duftenden Reseden,
Die letzten roten Astern trag herbei,
Und laß uns wieder von der Liebe reden,
Wie einst im Mai.

Gib mir die Hand,daß ich sie heimlich drücke
Und wenn man's sieht,mir ist es einerlei,
Gib mir nur einen deiner süßen Blicke,
Wie einst im Mai.

Es blüht und funkelt heut auf jedem Grabe,
Ein Tag im Jahr ist den Toten frei;
Komm an mein Herz,daß ich dich wieder habe,
Wie einst im Mai.

香りの強いモクセイ草はテーブルの上において
今年の最後の赤いアスターをこちらへ持っておいで
そしてまた、愛を語ろう
あの五月の時のように

僕に君の手をおくれ、手をそっと握っていたい
人に見られても僕は気にしない
あのやさしいまなざしを一つだけでいいから見せておくれ
あの五月の時のように

お墓にはみないいにおいの花がいっぱい、
年に一度の、亡くなった者のための一日だ
僕の胸においで、そうして君をまた抱いていたい
あの五月の時のように


これはご存知の名曲。誰かが載せないうちにと思っていました。
昔から、この歌は奥さんが先に亡くなった老夫婦が語り合っている情景と、なぜか私は勝手に思っていたのですが、恋人をなくした男が彼女の墓へお参りにきて昔を思い出している情景と解するのが一般的のようです。私の下手な訳で妙に細部にこだわっていると思われるかもしれませんが、これはある意味では濃密な愛の歌なのです。例えば、「あのやさしいまなざしを一つだけでいいから見せておくれ」をどのように名歌手達が歌っているか耳を澄ませて聴いてみましょう。ここには他の偉大なリート作曲家達にはないなんともいえないセンチメンタルな甘さがありそれが魅力的でもあります。
男声による歌唱では、

1.フィッシャーディースカウとジェラルド・ムーア
60年代のR.シュトラウスの男声用歌曲のほぼ全曲録音から。ちょっとこれは構えた声を張った大柄な歌い方で私の好みではない。ちなみにフィッシャー・ディースカウは2度目のシュトラウスの歌曲集の録音のときはこの曲を入れていません。

2.ヘルマン・プライとサヴァリッシュ(PHONOGRAM、ヘルマン・プライ・リーダーエディション4巻)

3.アンドレアス・シュミットとルドルフ・ヤンセン(BMGのシュトラウス歌曲全集)

ヘルマン・プライとアンドレアス・シュミットどちらでもよいが、好みは少しプライに傾きます。
女声はやたらとあるが、ショルティのピアノで歌うキリ・テ・カナワ(ショルティがピアノが上手なのは有名です)、又はバーバラ・ボニーの新録音を選びます。(彼女は作品10の8曲を全て入れており、おまけにこのCDでは詩の英訳も彼女が担当しています。これはお勧め)

( 1999.07.23 稲傘武雄 )


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