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Mondnacht   Op.39-5  
  Liederkreis
月の夜  
     リーダークライス

詩: アイヒェンドルフ (Josef Karl Benedikt von Eichendorff,1788-1857) ドイツ
    Gedichte - 6. Geistliche Gedichte  Mondnacht

曲: シューマン,ロベルト (Robert Alexander Schumann,1810-1856) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Es war,als hätt' der Himmel,
Die Erde still geküßt,
Daß sie im Blütenschimmer
Von ihm nur träumen müßt.

Die Luft ging durch die Felder,
Die Ähren wogten sacht,
Es rauschten leis die Wälder,
So sternklar war die Nacht.

Und meine Seele spannte
Weit ihre Flügel aus,
Flog durch die stillen Lande,
Als flöge sie nach Haus.

それは夜空が大地にそっと
口づけしたかのようだった
花々に彩られる大地が
自分を想ってくれるようにと

そよ風が野原を渡り
麦の穂がかすかに揺れ
森はひそやかにざわめいていた
それは星のきらめく夜だった

そして僕の魂は
広々とその翼を広げ
静かな大地の上を羽ばたいていった
わが家へ帰っていくように

アイヒェンドルフの詩によるシューマンの代表作のひとつ、リーダークライス作品39からの1曲。古くから名高い名曲です。アイヒェンドルフによるこの美しい詩は、「月の夜」と題されていながら「月」の語が出てきません。しかし第1節の描写はなんと月の光を美しく描き出していることでしょうか。それだけに一部の対訳で、ここにわざわざ「月の夜空」という語を意訳であてているものがあることは残念に思います。シューマンの作曲の方ももちろん、詩に触発された素晴らしいもの。ひそやかな月の光を描くにふさわしい静かで感動的な歌曲です。演奏は、シュライヤー&シェトラー、白井光子&ヘル、フィッシャー=ディースカウ&エッシェンバッハがお気に入りです。

( 2001.10.05 甲斐貴也 )


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