Herzgewächse Op.20 |
心の茂み |
Meiner müden Sehnsucht blaues Glas deckt den alten unbestimmten Kummer, dessen ich genas, und der nun erstarrt in seinem Schlummer. Sinnbildhaft ist seiner Blumen Zier: Mancher Freuden düstre Wasserrose, Palmen der Begier, weiche Schlinggewächse,kühle Moose. Eine Lilie nur in all dem Flor, bleich und starr in ihrer Kränklichkeit, richtet sich empor über all dem blattgeword'nen Leid. Licht sind ihre Blätter anzuschauen, weißen Mondesglanz sie um sich sät, zum Krystall dem blauen sendet sie ihr mystisches Gebet. |
私の疲れ果てた憧れの青いグラスは ぼんやりとした古い悲しみを覆い隠す 私が回復したばかりの悲しみを そしてそれは眠りの中で次第に動かなくなる 象徴となるのだ その花束が たくさんの喜びの暗いスイレン 棕櫚は欲望 柔らかな蔓草 冷たい苔 一輪のユリだけが花咲いている 蒼ざめ こわばって 病気にかかったように 立ちつくして 葉の茂みとなった悲しみの上に 輝いて見えるのはその葉 花は月の光をあたりに振りまく その青い水晶に向かって 花はその神秘的な祈りを届ける |
メーテルランクとシェーンベルクというのはなかなか不思議な取り合わせでしょうか。ドイツ語に訳された詩集「温室」の中の1篇の詩にシェーンベルクは音楽をつけています。
歌曲集「架空庭園の書」を書いた1年後の1911年の作品。ソプラノの独唱にチェレスタ、ハルモニウム、ハープの伴奏と、これ以降にどんどん増えて行く器楽アンサンブルに声を絡ませる作品群のはしりといえる作品です。チェレスタの高音がぽつりぽつりときらめくなか、ソプラノの高音が響き渡ると、なんだか宇宙空間を飛翔しているような感覚で鮮烈です。
( 2012.04.14 藤井宏行 )