Er ist's Op.79-23 Liederalbum für die Jugend |
今は... 若者のための歌のアルバム |
Frühling läßt sein blaues Band Wieder flattern durch die Lüfte; Süße,wohlbekannte Düfte Streifen ahnungsvoll das Land. Veilchen träumen schon, Wollen balde kommen. - Horch,von fern ein leiser Harfenton! Frühling,ja du bist's! Dich hab ich vernommen! |
春は再び、その青の髪飾りを 空になびかせる 甘く懐かしい香りが 大地にはただよう スミレも素敵な夢を見ながら もうすぐ咲きたいと願っている お聞き、ハープの音だ! 春よ、君かい! 僕には君がわかるんだ! |
この曲は、ヴォルフのメーリケ歌曲集の中にもありますが、あの名曲・名旋律だらけの曲集中にあっては今ひとつ影が薄いように思えて、同じ詩でも私はずっとシューマンが曲を付けたものの方に惹かれます。彼は溢れんばかりの数の春をテーマにした曲を残していますが、これはその中でも屈指の曲ではないでしょうか。
冒頭のピアノからシューマンらしさ全開のメロディですが、歌も負けずに情熱を語ります。シューマン歌曲に見え隠れするある種の臆面無さが、なんの衒いもなく出ているのは、これが「子供のための歌のアルバム」の中の一曲だからでしょうか?
(でも子供が歌うのはかなり難しそう...)
私の愛聴盤はルチア・ポップのソプラノ(Eurodisc)なのですが、むせ返るようなロマンチックさが大変良いです。
ところで、この曲、手持ちのヴォルフ歌曲集では「もう春だ」という邦題がついていましたが、これが定訳なのでしょうか?
Er ist's ですから「今は...」と訳した方がずっとお洒落かなという気がするのですが...
( 2000.03.27 藤井宏行 )