Auf einer Burg Op.39-7 Liederkreis |
古城にて リーダークライス |
Eingeschlafen auf der Lauer Oben ist der alte Ritter; Drüber gehen Regenschauer, Und der Wald rauscht durch das Gitter. Eingewachsen Bart und Haare Und versteinert Brust und Krause, Sitzt er viele hundert Jahre Oben in der stillen Klause. Draußen ist es still' und friedlich, Alle sind ins Tal gezogen, Waldesvögel einsam singen In den leeren Fensterbogen. Eine Hochzeit fährt da unten Auf dem Rhein im Sonnenscheine, Musikanten spielen munter, Und die schöne Braut,die weinet. |
見張り台の上で眠りについている ひとりの年老いた騎士 そこへ通り過ぎるにわか雨 そして森は格子窓ごしにざわめく 髭も髪も伸び放題で 胸や襟飾りも化石となった 彼は何百年もの間座ったまま この静かな部屋の中にいた 城の近くは静かで穏やか みな谷間へと行ってしまったから 森の小鳥たちだけがひっそり歌っている 人気のない窓のアーチのところで 婚礼の船が下を通り過ぎる ライン川の上を太陽を浴びて 音楽家たちは陽気に演奏し きれいな花嫁、彼女は涙を流す |
ペローの童話「眠りの森の美女」を思わせるような幻想的な情景描写です。時間が凍り付いている建物の中から戸外へと視点がズームアウトして行き、開けたライン河畔の光景となり、そしてまた船の上のひとりの花嫁にズームインしていくという、とてもダイナミックな動きも見せてたいへんビジュアルな面も見せ、魅力的な作品です。
( 2012.04.06 藤井宏行 )