TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ


Der frohe Wandersman   Op.77-1  
  Lieder und Gesänge III
陽気なさすらい人  
     歌曲と歌 第3集

詩: アイヒェンドルフ (Josef Karl Benedikt von Eichendorff,1788-1857) ドイツ
    Gedichte - 1. Wanderlieder  Der frohe Wandersmann

曲: シューマン,ロベルト (Robert Alexander Schumann,1810-1856) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Wem Gott will rechte Gunst erweisen,
Den schickt er in die weite Welt,
Dem will er seine Wunder weisen
In Berg und Wald und Strom und Feld.

Die Trägen,die zu Hause liegen,
Erquicket nicht das Morgenrot,
Sie wissen nur vom Kinderwiegen,
Von Sorgen,Last und Not ums Brot.

Die Bächlein von den Bergen springen,
Die Lerchen schwirren hoch vor Lust,
Was sollt' ich nich mit ihnen singen
Aus voller Kehl' und frischer Brust?

Den lieben Gott nur laß ich walten;
Der Bächlein,Lerchen,Wind und Feld,
Und Erd' und Himmel will erhalten,
Hat auch mein Sach' aufs Best' bestellt.

神様は自らの正しき恩寵をお示し下さる者を
広い世界へと旅立たせる
その者へ神様は自らの奇跡を示そうとするのだ
山に 森に 川にそして野に

怠け者どもは、家で寝そべって
心動かされることもないのだろう この朝焼けに
彼らが知るのはただ子供の世話に
心配事、パンを得るための苦労や悩みだけだ

小川は山より流れ出し
ヒバリは高く飛ぶ 喜びにあふれて
どうして私も歌わずにいられようか 彼らと一緒になって
目いっぱいの声と 爽やかさあふれる胸で

愛する神様だけが私を支配なさるのだ
小川も ヒバリも 風も野も
そして大地も天もお守りくださり
私に関わることも最高のものとなしてくださるのだ


陽気なときのシューマンの音楽にぴったりのさすらいの歌詞。彼はこんな感じの詩にたくさん歌のメロディをつけています。この曲もまた神様への賛美も交えながら力強く、生き生きと歌われて行きます。ですが興味深いのはアイヒェンドルフの詩につけたこの歌曲、もともとは作品39のリーダークライス(歌曲集)の第1曲目に入れられるはずであったということ。あの歌曲集の中にも陽気な曲はありますが、全体のトーンは憂愁に満ちた、どこか物思いに沈むような作品でした。
その最初の曲が、現在の「異郷にて(In der Fremde)」ではなくてこの曲であったなら、この歌曲集は果たして全体として一体どのような雰囲気となったでしょうか。この曲自体が決して劣った曲というわけではないのですが、あの歌曲集の冒頭を飾る曲としては少々異質な感じがします。

( 2012.03.23 藤井宏行 )


TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ