In der Fremde Op.39-1 Liederkreis |
異郷にて リーダークライス |
Aus der Heimat hinter den Blitzen rot Da kommen die Wolken her, Aber Vater und Mutter sind lange tot, Es kennt mich dort keiner mehr. Wie bald,ach wie bald kommt die stille Zeit, Da ruhe ich auch,da ruhe ich auch,und über mir Rauscht die schöne Waldeinsamkeit,die schöne Waldeinsamkeit Und keiner kennt mich mehr hier,Und keiner kennt mich mehr hier. |
あの赤い稲光のはるか向こうにある故郷から 雲がやってくる こちらの方へ だが父も母も遠い昔に死んでいて 私を知る者は あそこにはもう誰もいない すぐに、ああすぐにやってくるのだ 静かな時が そのとき私もまた憩い、そのとき私もまた憩い、そして私の上では ざわめくだろう 美しい森の寂しさが 美しい森の寂しさが そして私を知る者は誰もいなくなる ここにおいてさえも |
シューマン歌の年1860年の代表作のひとつ、作品39のアイヒェンドルフの詩によるリーダークライスは、この冒頭の曲に代表されるような憂いに満ちた表情が美しく、ロマンティックな味わいの深い傑作です。
そんな憂いの雰囲気が強いせいか、私はこの歌曲集、舞台が秋のイメージだったのですが、選ばれた詩をよくよく見るとむしろ春の歌の方が多いのですね。この第1曲も春の嵐の情景なのかも知れません。
またこの歌曲集の特徴として「異郷 Fremde」と付く曲が全部で3曲と多いこと。もっともこれはアイヒェンドルフの詩自体に多いこともあるのですが。このことと、第3曲・7曲・11曲目にあるような物語風の情景描写がこの歌曲集を独特の魅力あるものにしています。
( 2012.03.23 藤井宏行 )