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Mailied   Op.52-4  
  Acht Lieder
5月の歌  
     8つの歌

詩: ゲーテ (Johann Wolfgang von Goethe,1749-1832) ドイツ
      Mailied (1771)

曲: ベートーヴェン (Ludwig van Beethoven,1770-1827) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Wie herrlich leuchtet mir die Natur,
Wie glanzt die Sonne, wie lacht die Flur!
Es dringen Bluten aus jedem Zweig
Und tausend Stimmen aus dem Gestrauch,
Und Freud und Wonne aus jeder Brust;
O Erd', o Sonne, o Gluck, o Lust!

O Lieb', o Liebe! So golden schon
Wie Morgenwolken auf jenen Hohn!
Du segnest herrlich das frische Feld,
Im Blutendampfe die volle Welt.
O Madchen, Madchen, wie lieb ich dich!
Wie blickt dein Auge, wie liebst du mich!

So liebt die Lerche Gesang und Luft,
Und Morgenblumen den Himmelsduft
Wie ich dich liebe mit warmen Blut,
Die du mir Jugend und Freud und Mut
Zu neuen Liedern und Tanzen gibst.
Sei ewig glucklich, wie du mich liebst!

何と美しく私の上に輝く自然
輝く太陽、笑いさざめく野原!
花はすべての枝より咲き出で
茂みからは千々のさえずり
喜びと至福はみんなの胸から
おお大地よ、おお太陽よ、おお幸せよ、おお喜びよ !

おお愛、おお恋人よ、とても美しく輝いているね
まるで遠くの山にかかる朝の雲のように!
君は美しい野原を祝福する
花のじゅうたんに包まれた美しい世界を
おお少女よ、少女よ、どんなに君を愛していることか!
君のひとみは何と輝き僕を愛してくれることか!

ひばりは歌とそよ風を愛し
朝の花が夜露を愛するように
僕は熱い血をたぎらせて君を愛する
新しい歌と踊りとで
青春と喜びと力を与えてくれる君を
永遠に幸あれ、僕を愛してくれる限り


ベートーヴェンの作品の中では割と冷遇されている(と思う)歌曲ですが、端正なロマンが魅力的だと私は思います。特にこんな詩の曲は、シューベルトやシューマンのひとひねりある世界よりは、ベートーヴェンの真面目な音楽がしっくりときて、私は大変気に入っています。彼の初期の作品(Vnソナタ「春」とか)が好きな方は是非歌曲も聴かれるといいと思うのですが。でも録音はそんなに多くないですよね。
ゲーテの詩も彼が若い頃の作品のようで、ストレートに愛の喜びを歌います。
自然の美しさと生きている喜び、そして彼女に愛し愛される昂揚感。若いころでなければ有り得ない感受性なのかも知れません。
(とはいえ、ゲーテは老年になってもこの詩のままだったという話もありますが...)
この曲をF=ディースカウの歌はあの美しい声で浸り込むように歌います。ただベートーヴェンを歌うにしては巧すぎるきらいはありますが。
シュライアーのはとても叙情的。彼のスタイルはベートーヴェンには良く合っているかも知れません。
ただ最近復刻されたゲッダのやつは、大変なパッションで耳をそばだたせてとても印象的。私の今のベストチョイスです。
シンフォニーの演奏でも多彩な表情を見せますが、歌曲においてもいろいろな解釈を許すベートーヴェンの面目躍如といったところでしょうか?

( 2002.03.15 藤井宏行 )


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