Frühlingsgedränge Op.26-1 TrV 166 Zwei Lieder nach Nicolaus Lenau |
春の賑わい レーナウの詩による2つの歌曲 |
Frühlingskinder im bunten Gedränge, Flatternde Blüthen,duftende Hauche, Schmachtende,jubelnde Liebesgesänge Stürzen an's Herz mir aus jedem Strauche. Frühlingskinder mein Herz umschwärmen, Flüstern hinein mit schmeichelnden Worten, Rufen hinein mit trunkenem Lärmen, Rütteln an längst verschlossenen Pforten. Frühlingskinder,mein Herz umringend, Was doch sucht ihr darin so dringend? Hab' ich's verrathen euch jüngst im Traume, Schlummernd unter dem Blüthenbaume? Brachten euch Morgenwinde die Sage, Daß ich im Herzen eingeschlossen. Euren lieblichen Spielgenossen, Heimlich und selig - ihr Bildniß trage? |
色とりどりにひしめき合う春の子供たちや 揺らめく花々、匂い立つ吐息が 思い焦がれ、喜びあふれる愛の歌たちが 私の胸へと押し寄せる あらゆる茂みの中から 春の子供たちは私の胸にまとわりつき 心地よい言葉でささやきかけ 酔いしれた響きで呼びかけ ずっと閉ざされていた扉を揺すぶるのだ 春の子供たちよ、私の胸を取り巻いて そんなにあわてて何を探しているんだ? 私はうっかり教えてしまったのか つい最近夢の中で 花咲く木々の下でまどろんでいるときに? 朝の風がお前たちに運んだのか、その噂を 私が胸の中に閉じ込めているという お前たちの親しい遊び仲間のことを ひそかにそして幸せに-彼女の姿を抱いていることを? |
シュトラウスとハンガリー出身の抒情詩人レーナウとの関係というと、レーナウのドンファンにまつわる詩をもとに交響詩「ドンファン」が書かれたことが非常に有名ですが、こと歌曲ということになりますとレーナウの詩に付けたものは思いの他少なく、少年時代の習作のようなものを除くとわずかにこの作品26の2曲を数えるのみのようです。
この春の訪れを歌った第1曲、さざめくピアノの響きと共に華やかに始まりますが、やがて主人公の恋する思いを映し出すようにしっとりと、しみじみとしたメロディに変わり、そのまま静かに終わります。
まさに早春のワンシーン。今の時期にぴったりの魅力的な歌です。
( 2012.03.03 藤井宏行 )