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Ständchen   D 957  
  Schwanengesang
セレナーデ  
     白鳥の歌

詩: レルシュターブ (Ludwig Rellstab,1799-1860) ドイツ
      Ständchen

曲: シューベルト (Franz Peter Schubert,1797-1828) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


Leise flehen meine Lieder
Durch die Nacht zu Dir;
In den stillen Hain hernieder,
Liebchen,komm’ zu mir!

Flüsternd schlanke Wipfel rauschen
In des Mondes Licht;
Des Verräthers feindlich Lauschen
Fürchte,Holde,nicht.

Hörst die Nachtigallen schlagen?
Ach! sie flehen Dich,
Mit der Töne süßen Klagen
Flehen sie für mich.

Sie verstehn des Busens Sehnen,
Kennen Liebesschmerz,
Rühren mit den Silbertönen
Jedes weiche Herz.

Laß auch Dir das Herz bewegen,
Liebchen,höre mich!
Bebend harr’ ich dir entgegen!
Komm’,beglücke mich!

ひそやかに訴えかける私の歌声は、
夜の闇を抜けて君のもとへと届く。
この静かな森の中へ、
恋人よ、さあおいで。

木々の細いこずえはざわめく、
月の光の中で。
告げ口好きなおしゃべりが聞き耳を立てていても、
恋人よ、心配しないで。

夜鶯の声を聞いているかい。
ああ、鳥たちは君に訴えかける。
優しい嘆きのさえずりで、
私の切ない想いを。

夜鶯は胸の中の熱望をわかっているし、
恋の痛みを知っている。
銀の鳴き声で揺さぶるのだ、
この揺れ動く心を。

だから君も心を動かして欲しい、
恋人よ。私の歌で...
震えながら待ちわびているから、
ここへ来て、私を幸せにしてくれ。

シューベルト最後の歌曲集「白鳥の歌」の重要な1曲であるのみならず、彼の歌曲作品の中でも、世界中の人に特に親しまれていることでも指折りの傑作だと思います。
悲しげに愛をささやく歌の部分と、望みが膨らんでいくかのように明るく盛上がる間奏部分の対比が実に見事です。
有名な曲ですから、録音も星の数ほどあるでしょうし、素晴らしい名唱も少なくないのでしょうが、わたしが一番心惹かれているのは、ハンス・ホッターがこの曲だけ単独で「ドイツ歌曲集」(EMI)に入れている録音です。
ここでのほとんど祈りにも聞こえる神々しい歌はなかなか聴けるものではありません。
(同じシューベルトの「楽に寄す」も絶唱です)
(藤井宏行)99.10.10 

このような拙い訳をオンライン小説の一節に織り込んで下さるという方が現れましたので、せっかくですからもう少し推敲してみました。
   Hue Circleより
     『Listen to me, my dear』 act6.5 : Moonlight For Us

恋する人の心の昂ぶりが、この曲のメロディーの盛り上がりと共にうまく表現されていて、今更恋愛とは縁もない私にも面白く読めましたが、その目で改めて原詩を見ると、この歌、実に熱い恋歌であるということに気が付きました(セレナーデですから当然といえば当然なのですが)。
どうも今までホッターやプライ、ヘフリガーといった人達の歌で聴き込んできた私には、この曲からそういう「若さ故の生々しさ」を感じ取れていなかったのだなあ、と思わぬところで感心。
若手が情熱あふれる歌い方で、この「白鳥の歌」を歌ったものがあればそういう解釈もあるのかな、という気もしますが、どなたか良いものがあればご教示ください。小説の方ではリスト編曲のピアノ版が登場しますが、もし歌付きのオリジナルをこの熱い恋のBGMにするとすれば、ホッターやヘフリガーの歌はちょっと違うような気がしますので...
(藤井宏行) 2003.8.21改訂

( 2003.08.21 藤井宏行 )


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