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Seligkeit   D 433  
 
至福  
    

詩: ヘルティ (Ludwig Heinrich Christoph Hölty,1748-1776) ドイツ
    Oden und Lieder - Zweites Buch 1 Seligkeit

曲: シューベルト (Franz Peter Schubert,1797-1828) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


Freuden sonder Zahl
Blühn im Himmelssaal
Engeln und Verklärten,
Wie die Väter lehrten.
O da möcht ich sein
Und mich ewig freun!

Jedem lächelt traut
Eine Himmelsbraut;
Harf und Psalter klinget,
Und man tanzt und singet.
O da möcht ich sein
Und mich ewig freun!

Lieber bleib ich hier,
Lächelt Laura mir
Einen Blick,der saget,
Daß ich ausgeklaget.
Selig dann mit ihr,
Bleib ich ewig hier!

数え切れないほどの喜びが
天国の広間に咲いている!
天使や聖者もいると
神父さんは教えてくれた
ああ、そこへ行って
永遠の喜びを得たいものだ

天国の女神が
だれにでも微笑みかける
ハープがなって、
みな踊り、歌うんだ
ああ、そこに行って
永遠の喜びを得たいものだ

でも僕はこの地上にいる事にする
ラウラが僕に微笑みかければ
一度のまなざしで
僕の嘆きは消え去ってしまう
だから僕は彼女と幸せに
永遠にここにいるんだ!

これはシューベルト入門にも最適な美しい小唄。歌詞を知らなくても大体想
像が付く曲調。他愛の無いラブソングというやつです。しかし、最初の2節で
天国の生活をたたえ、3節めで、それより恋人のいるこの地上が良い、とノ
ロケる内容が、対訳によっては不明瞭で、まるで死を願う曲みたいになって
いるのがあります。それでちょっとわかりやすくしてみました。

名曲だけに数多くの録音がありますが、やはりこういう曲になるとアメリンク
が素晴らしいですね。まず声の美しさ、そして非常に巧妙でありながら自然
に聴かせるテクニック、言う事ありません。
アメリンクは昨年の引退公演で、アンコールにこの曲を歌いました。その時
のほかの曲、たとえば「ロザムンデのロマンス」のような美声を必要とする曲
では衰えが目立ち、痛々しさが感じられましたが、アンコールのこの曲では
奇跡的に往年の輝きを見せ感動的でした。ドレスの裾をさっとさばいてから、
さっそうと歌うアメリンクの姿は忘れられません。

( 1998.08.05 甲斐貴也 )


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