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Christus factus est pro nobis   Op.16-1  
  5 Canons
キリストはわれらのためになされたのです  
     5つのカノン

詩: 聖歌 (Hymn,-) 
      

曲: ウェーベルン (Anton Webern,1883-1945) オーストリア   歌詞言語: ラテン語


Christus factus est pro nobis
obediens usque ad mortem,
mortem autem crucis.
Propter quod et Deus exaltavit illum:
et dedit illi nomen
quod est super omne nomen.

キリストはわれらのためになされたのです
死に臨まれても 従容とし続けられて
十字架の上で死なれてゆきました
そのことゆえに神は彼を高みへと持ち上げられ
名をお与えになりました
あらゆる名に優る名を


作品15のドイツ語の詩による宗教的な歌に引き続き、カノンの形式によるこちらもキリスト教の信仰に基づく歌曲集作品16ですが、興味深いのはこちらの歌詞はすべてラテン語であることです。比較的良く知られている典礼の文句が集められているようで、伝統的な宗教音楽に付けられた曲もたくさんあるようですが、ここでウェーベルンによって付けられた音楽はそれらに対しとことん異彩を放っています。
伴奏がクラリネットとバス・クラリネットというのもそうですし、いずれの曲も1分たらずであっという間に終わってしまうというのも強烈。まだ12音技法に手を染めてしまう前の作品ですが、ほとんどその一歩手前のような歌声の音程の跳躍は耳に突き刺さってきます。

第1曲は「聖週間 枝の主日のミサ 昇階唱」ということですので、復活祭に関わる詞がもとです。新約聖書「ピリピ人への手紙 2-8〜9」が出典のようです。踊りまわるようなクラリネットの伴奏に乗せて跳びはねるソプラノが絡み、30秒ほどで曲は終わります。

( 2011.12.11 藤井宏行 )


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