Les cloches H.12 Six Poèmes de Guillaume Apollinaire |
鐘の音 ギョーム・アポリネールの6つの詩 |
Mon beau tzigane,mon amant Écoute les cloches qui sonnent Nous nous aimions éperdûment Croyant n'être vus de personne Mais nous étions bien mal cachés Toutes les cloches à la ronde Nous ont vu du haut des clochers Et le disent i tout le monde Demain Cyprien et Henri, Marie,Ursule et Catherine La boulangère et son mari Et puis Gertrude ma cousine Souriront quand je passerai Je ne saurai plus où me mettre Tu seras loin je pleurerai J'en mourrai peut-être. |
私の美しいジプシー、私の恋人よ あの鳴り渡る鐘の音を聞いておくれ 私たちは互いに狂おしく愛し合った 人に見られていないと信じ切って けれど私たちは とてもまずくしか隠れられていなかった あたりにある鐘がみんな 私たちのことを塔の上から見おろして この世間みんなに言いふらしてしまう 明日にはシプリアンとアンリが マリアとウルスーレとカテリーネが パン屋のおかみさんとその旦那が そしていとこのゲートルーデが 笑うでしょう 私が通り過ぎる時に 私はもうどこに隠れたらいいか分からない あなたは遠くにいるし 私は泣くでしょう 私は死んでしまうかもしれない |
華やかに鳴り響くカリヨンの音に乗せて力強く歌が始まりますが、内緒の恋がばれてしまう心配からか、知りあいの名前を思い出すところあたりから段々不安げになって、そして最後はテンポを落として消え入るように言葉をつぶやきます。一瞬の間のあと、詩の冒頭の2行を繰り返してまた華やかな鐘の音と共に曲は閉じます。ピアノの紡ぎ出す鐘の音の描写は実に見事としか言いようがありません。歌も最初の晴れやかなメロディが実に美しいです。
( 2011.12.02 藤井宏行 )