La delaïssádo Chant d'Auvergne Vol.2 |
捨てられた娘 オーベルニュの歌 第2集 |
Uno pastourèlo èsper olaï al capt del bouès Lou galan doguélo,mé né bén pas! “Ay! souï délaïssado! Qué n'aï pas vist lou mio galant; Crésio qué m'aïmábo,è ton l'aïmé ièu!” Luziguèt l'estélo,aquèlo què marco la nuèt, e lo pauro pastoureletto Démouret à ploura... |
ひとりの羊飼い娘が山の上で待っている 恋してる若者を、決して来ることはないのに! 「ああ! わたしは捨てられたのね! わたしの恋する若者はやってこないわ わたしを愛してくれてると信じてたから わたしも彼を愛してたのに!」 やがて星が現れた 夜の訪れを告げる星が そして哀れな羊飼い娘は ひとり泣き始める |
のどかな歌や陽気な歌の多いこの歌曲集においてはほとんど唯一と言っても良いほど深い悲しみに沈んだ歌です。歌の中に独白なんかがあるのはあまり民謡らしくないので、割と新しく書かれた歌が作者不詳となって伝わっているのかも知れません。
冒頭のコールアングレとオーボエのしみじみしたソロの掛け合いが深々と広がる中、悲しみに満ちた歌声がそっと加わってきます。カントルーブの編曲の妙もありますが、民謡らしからぬ凝った造りの音楽が紡ぎ出され感動的です。
( 2011.11.26 藤井宏行 )