Ich bin friedlos Op.18-1 Lyrische Symphonie |
私は落ち着かない 抒情交響曲 |
Ich bin friedlos,ich bin durstig nach fernen Dingen. Meine Seele schweift in Sehnsucht, Den Saum der dunklen Weite zu berühren. O großes Jenseits,o ungestürmes Rufen Deiner Flöte. Ich vergesse,ich vergesse immer, Daß ich keine Schwingen zum Fliegen habe, Daß ich an dieses Stück Erde gefesselt bin für alle Zeit. Ich bin voll Verlangen und wachsam, Ich bin ein Fremder im fremden Land; Dein Odem kommt zu mir Und raunt mir unmögliche Hoffnungen zu. Deine Sprache klingt meinem Herzen vertraut Wie seine eig'ne. O Ziel in Fernen,o ungestümes Rufen deiner Flöte. Ich vergesse immer,ich vergesse, Daß ich nicht den Weg weiß, Daß ich das beschwingte Roß nicht habe. Ich bin ruhlos,ich bin ein Wanderer in meinem Herzen. Im sonnigen Nebel der zögernden Stunden Welch gewaltiges Gesicht von dir wird gestaltet In der Bläue des Himmels. O fernstes Ende,o ungestümes Rufen deiner Flöte. Ich vergesse,ich vergesse immer, Daß die Türen überall verschlossen sind in dem Hause, Wo ich einsam wohne. O fernstes Ende,o ungestümes Rufen deiner Flöte. |
私は落ち着かない 私は彼方のものに憧れている わが魂は憧れにさすらうのだ 遠き暗闇の淵に触れようとして おお偉大なる超越者よ その笛の激しき呼び声よ 私は忘れている 私はいつも忘れているのだ 私に飛ぶための翼がないことを 私はこの大地の隅に縛りつけられていることを 永遠に! 私は望みにあふれ 目覚めている 私は異郷の地にあるよそものなのだ お前の吐息が私のもとに届き 私に手の届かない希望をささやく お前の話し声は私の心になつかしく響く まるで本物のように おお彼方の地よ その笛の激しき呼び声よ 私はいつも忘れている 私は忘れているのだ 私は行く道を知らぬことを 私は翼を持つ馬を持たぬことを 私には安らぎがない 私は放浪者なのだ 自分の心の中の ぐずぐずした時間の太陽の霞の中 なんとお前の巨大な顔が照らし出されていることか この空の青さの中で おお彼方のさい果てよ その笛の激しき呼び声よ 私は忘れている 私はいつも忘れているのだ 家の扉にはすべて鍵がかかっていることを 私がひとり住むこの家の おお彼方のさい果てよ その笛の激しき呼び声よ |
ツェムリンスキーの代表作ともいえる「抒情交響曲」は1922年の作品、7つの楽章からなる男声と女声が交互にソロを交響曲というマーラーの「大地の歌」を明らかに意識している作品です。詩はインドの大詩人、ラビンドラナート・タゴールの詩集「園丁」より、おおよそ詩集の順番に7篇を選んで、愛との別れを歌います。第一楽章は冒頭よりまさにあの「大地の歌」の導入を彷彿とさせる東洋風のブラスのファンファーレで始まりますが、すぐに歌は入らず、しばらく濃密な管弦楽の序奏が続きます。歌はしみじみとした述懐でちょっと地味な印象もありますが、届かぬものへの憧れですのでこれでも良いでしょうか。管弦楽はこの上もなく濃密で、この曲が後期ロマン派の最果てに位置することを深く実感させます。
詩は「園丁」5番目の詩です。ドイツ語詞への翻訳はHans Effenberger(1884-1950)です。
( 2011.11.13 藤井宏行 )