Mandoline |
マンドリン |
Les donneurs de sérénades Et les belles écouteuses Echangent des propos fades Sous les ramures chanteuses. C'est Tircis et c'est Aminte, Et c'est l'éternel Clitandre, Et c'est Damis qui pour mainte Cruelle fiit maint vers tendre. Leurs courtes vestes de soie, Leurs longues robes à queues, Leur élégance,leur joie Et leurs molles ombres bleues, Tourbillonent dans l'extase D'une lune rose et grise, Et la mandoline jase Parmi les frissons de brise. Les donneurs de sérénades Et les belles écouteuses Echangent des propos fades Sous les ramures chanteuses. |
セレナーデの捧げ手たちと そしてその麗しき聴き手たち とりとめない言葉を交わしている 歌いさざめく小枝の下で あれはチルシス、あれはアマント そして永遠のクリサンドル そしてあれはダミスだ、彼はたくさんの 冷たい娘たちに寄せて 優しい詩を書きつける 彼らの短いシルクのコート 彼女たちの長い裾のドレス 彼らのエレガンス 彼らの喜び そして彼らの柔らかな青い影が 恍惚の中をさまよっている 灰色がかったピンクの月の そしてマンドリンは鳴り響く 震えるそよ風の中を セレナーデの捧げ手たちと そしてその麗しき聴き手たちが とりとめない言葉を交わしている 歌いさざめく小枝の下で |
1901年のローマ大賞コンクールでラヴェルを抑えて2位となった作曲家デュポン(ちなみに1位はアンドレ・カプレだったそうです)は病気で夭折したこともあり、今やほとんど忘れ去られた人となってしまいました。私もTimpaniレーベルにある彼の歌曲全集というCD1枚を除くと、この歌曲「マンドリン」の録音をマーティン・ヒルのテノールの歌で(Meridianのフランス歌曲集CD)聴いたことがあるくらいです。今回フィリップ・ジャルスキーの歌ったフランス歌曲集の録音で再び耳にすることができて嬉しい喜びでした。この詩の持つ典雅さとユーモア、そして活気のすべてを満たしたようなこの歌曲、彼の作品としては20代なかばの初期のもののようですが代表作と呼んでも良い素晴らしさです。
詩は2003年にフォーレの曲を取り上げたときに訳しておりますが、今回はあらためて訳を見直してみました。
( 2011.10.29 藤井宏行 )