Fêtes Galantes Premier Recueil de 20 mélodies |
艶なる宴 20のメロディー第1集 |
Les donneurs de sérénades Et les belles écouteuses Echangent des propos fades Sous les ramures chanteuses. C'est Tircis et c'est Aminte, Et c'est l'éternel Clitandre, Et c'est Damis qui pour mainte Cruelle fiit maint vers tendre. Leurs courtes vestes de soie, Leurs longues robes à queues, Leur élégance,leur joie Et leurs molles ombres bleues, Tourbillonent dans l'extase D'une lune rose et grise, Et la mandoline jase Parmi les frissons de brise. Les donneurs de sérénades Et les belles écouteuses Echangent des propos fades Sous les ramures chanteuses. |
セレナーデの捧げ手たちと そしてその麗しき聴き手たち とりとめない言葉を交わしている 歌いさざめく小枝の下で あれはチルシス、あれはアマント そして永遠のクリサンドル そしてあれはダミスだ、彼はたくさんの 冷たい娘たちに寄せて 優しい詩を書きつける 彼らの短いシルクのコート 彼女たちの長い裾のドレス 彼らのエレガンス 彼らの喜び そして彼らの柔らかな青い影が 恍惚の中をさまよっている 灰色がかったピンクの月の そしてマンドリンは鳴り響く 震えるそよ風の中を セレナーデの捧げ手たちと そしてその麗しき聴き手たちが とりとめない言葉を交わしている 歌いさざめく小枝の下で |
タイトルはこの詩が含まれている詩集の名をつけておりますが、フランス歌曲にお詳しい方はすぐにお分かりのように、フォーレやドビュッシーも歌曲にしている有名な「マンドリン」の詩につけた歌曲です。面白いのはこのアーンの曲、フォーレの同曲を下敷にしたとしか思えないほど曲の雰囲気が良く似ているのです。では亜流として詰まらないかといえば決してそんなことはなくて、この詩の持つユーモアが一段と引き出され、とても楽しい歌になっています。フォーレ、ドビュッシー、アーン、そしてその他のいろいろな作曲家がそれぞれ思い思いに解釈して多彩な歌曲となっているこの詩、改めてヴェルレーヌの凄さも感じさせてもらいました。
2003年にフォーレがこの詩につけた曲を取り上げたときに訳しておりますが、今回はあらためて訳を見直してみました。
( 2011.10.29 藤井宏行 )