Les hiboux |
ミミズク |
Sous les ifs noirs qui les abritent, Les hiboux se tiennent rangés, Ainsi que des dieux étrangers, Dardant leur oeil rouge. Ils méditent. Sans remuer ils se tiendront Jusqu'à l'heure mélancolique Où,poussant le soleil oblique, Les ténèbres s'établiront. Leur attitude au sage enseigne Qu'il faut en ce monde qu'il craigne Le tumulte et le mouvement; L'homme ivre d'une ombre qui passe Porte toujours le châtiment D'avoir voulu changer de place. |
暗いイチイの木の陰に守られて ミミズクたちが列をなして止まっている まるで異教の神様のように 真っ赤な瞳を投げかける 瞑想しているのだ 動かずにじっとしている 憂鬱の時がやってくるまで 傾いた太陽を押しのけて 暗闇が落ち着くまで 彼らの態度は賢者に知らしめているのだ この世で恐れねばならないのは 喧騒と変化であるのだということを 通り過ぎる影に酔う人間は いつも罰を受けるのだ その居場所を変えようとすることで |
生前はドビュッシー、ラヴェルと並び称されていた印象派の巨匠、セヴラックの恐らく一番有名な歌曲ではないでしょうか。曲が詩の持つ音楽性に負けてしまいやすいので、多くのフランスの作曲家からは敬遠されているボードレールの詩に真っ向から挑み、非常に印象的な音楽を紡ぎ出しています。冒頭の夜の森を表すかのような幻想的なピアノ伴奏が殊のほか印象的です。そのピアノに絡む語るかのような歌。この詩の持つ瞑想性をも十二分に引き出し、しかも情景描写も巧みで、確かに傑作と呼ばれるにふさわしい音楽です。フェリシティ・ロットが歌ったボードレールの詩につけたフランス歌曲集(HM)の中の歌、ル=ルーのバリトンのHyperion盤や最近出てとても印象的だった奈良ゆみさんのソプラノによるALM盤のふたつのセヴラック歌曲集などでこの見事な音楽を聴くことができます。
( 2011.10.26 藤井宏行 )