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Une flûte invisible    
 
見えない笛  
    

詩: ユゴー (Vicomte Victor Marie Hugo,1802-1885) フランス
    Les contemplations - 2. Livre deuxiême -- L'âme en fleur 13 Viens! - une flûte invisible

曲: カプレ (André Caplet,1879-1925) フランス   歌詞言語: フランス語


Viens! - une flûte invisible
Soupire dans les vergers. -
La chanson la plus paisible
Est la chanson des bergers.

Le vent ride,sous l'yeuse,
Le sombre miroir des eaux. -
La chanson la plus joyeuse
Est la chanson des oiseaux.

Que nul soin ne te tourmente.
Aimons-nous! aimons toujours! -
La chanson la plus charmante
Est la chanson des amours.

おいでよ!-見えない笛が
溜息をついている 果樹園の中で
この上ない平和な歌は
羊飼いたちの歌だ

風が揺らす カシの木の下
水面の暗い鏡を
この上ない陽気な歌は
鳥たちの歌だ

どんな悩みもきみを苦しめることはない
愛し合おう!いつまでも愛し合おう!
この上ない魅惑にあふれる歌は
恋人たちの歌だ


ドビュッシーの友人として、いくつかの彼の作品を初演したり編曲したりといった面でのみ知られているかのようなカプレですが、けっこう印象的な「印象派」的な音楽を書いている作曲家でもありました。従軍した第一次世界大戦での負傷がたたり、若くして亡くなってしまったこともあり作品数がそれほど多くないのが残念ですが、その中にあっては歌曲作品は比較的多く、極上のフランス歌曲の中に数えても良いような作品がいくつもあります。
この曲は文豪ユゴーの詩につけた曲。笛がテーマになっていますのでピアノに加えてフルートの伴奏もついています。音楽はドビュッシーの歌曲を更に、更に濃密にしたような感じで、同じく笛をテーマにした傑作、ビリティスの歌の第1曲を発展させたような雰囲気に酔いしれる作品です。ドビュッシーのものと違ってちゃんと笛がついているところも生々しくて良いです。
この詩には非常に多くの作曲家が曲をつけており、聴き比べてみるのも興味深いところです。サン=サーンスの書いたものが比較的有名でよく耳にすることができます。

( 2011.10.10 藤井宏行 )


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