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Le bachelier de Salamanque   Op.20-1  
  Deux mélodies
サラマンカの学生  
     二つのメロディ

詩: シャリュ (René Chalupt,1885-1957) フランス
      

曲: ルーセル (Albert Roussel,1869-1937) フランス   歌詞言語: フランス語


詩:著作権のため掲載できません。ご了承ください
こんな夜更けにいったいどこへ行く
サラマンカの人気のない通りを
黒い帽子にお前のギターを
そのマントの下に隠し持って?

真夜中を告げる鐘はとっくに鳴って
もうとっくに あたりの立派な家の中では
ブルジョワ達がぐっすり眠ってるぞ
知らんのだな 提督のお触れを

ブタ箱に放り込まれるのだ
セレナードを歌う奴らはな
盗賊がお前の金の鎖をぶった切るのだ

そしてあの提督の娘
お前がむなしく愛を捧げている相手は
お前をあざけっているのだぞ 塔の陰で

(詞は大意です)

残念ながら、私はまだルーセルの歌曲をまとめて聴く機会には恵まれていないのですが、いくつかのフランス歌曲集で断片的に聴いた限りでは、とても面白い作曲家のひとりだと思いました。
初期の作品はドビュッシーそっくりの印象派風作品なのでそれほどでもないのですけれど、作品番号20番あたりから後の歌曲は誰も真似できない独自の世界です。
以前私は、彼の中〜後期作風を「土足で人の家へずかずかと上がり込んで来るような厚かましいリズム」と評しましたが、歌曲でもそれは健在で、ピアノがずかずかずかずか鳴る中、熱い歌がフランス語で奏でられると本当に嬉しくなります。
そんなルーセルですから、このような皮肉な詩に付けた音楽は将に絶品、大変なインパクトで聴き手に迫ってきます。独特の伴奏音形からからかうような歌が始まるのは面白い聴きものです。
ちょっとハメを外したスゼーの歌(Philips)と、皮肉な中にも端正さを失わないキュエノー(Ten)の歌(Nimbus)の2枚を聴きましたが、私は後者の方が気に入りました。恐らく彼が70歳はとうに越えた時の録音でまさに人間国宝級の芸が聴けます。

( 1999.06.20 藤井宏行 )


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