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Erste Begegnung   Op.74-1  
  Spanisches Liederspiel
初めての出会い  
     スペインの歌芝居

詩: ガイベル (Franz Emanuel August Geibel ,1815-1884) ドイツ
    Spanisches Liederbuch - 2. Weltliche Lieder(スペインの歌の本 2.世俗歌曲) 2 Von dem Rosenbusch,o Mutter 原詩: Gil Vicente ヴィセンテ

曲: シューマン,ロベルト (Robert Alexander Schumann,1810-1856) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Von dem Rosenbusch,o Mutter,
von den Rosen komm ich.
An den Ufern jenes Wassers
sah ich Rosen stehn und Knospen;

von den Rosen komm ich.
An den Ufern jenes Flusses
sah ich Rosen stehn in Blüte,
von den Rosen komm ich.

Sah ich Rosen stehn in Blüte,
Brach mit Seufzen mir die Rosen.
Von dem Rosenbusch,o Mutter,
von den Rosen komm ich.

Und am Rosenbusch,o Mutter,
Einen Jüngling sah ich,
An den Ufern jenes Wassers
Einen schlanken Jüngling sah ich,

An den Ufern jenes Flusses
Sucht nach Rosen auch der Jüngling,
Viele Rosen pflückt er,
viele Rosen.

Und mit Lächeln brach die schönste er,
Gab mit Seufzen mir die Rose.
Von dem Rosenbusch,o Mutter,
von den Rosen komm ich.

バラの茂みのところから、おお母さん
あのバラの所から私は来たの
あの川の岸辺のところで
私見たの バラにつぼみができてるのを

あのバラの所から私は来たの
あの川の岸辺のところで
私見たの バラが咲いてるのを
あのバラの所から私は来たの

私見たの バラが咲いてるのを
ため息ついてバラを折ったわ
バラの茂みのところから、おお母さん
あのバラの所から私は来たの

バラの茂みで、おお母さん
一人の若者を私は見たの
あの川の岸辺のところで
一人のすらりとした若者を私は見たの

あの川の岸辺のところで
バラを探してたのよ その若者も
たくさんのバラを折り取っていたわ
たくさんのバラを

そしてほほ笑んで一番きれいなのを折り取って
ため息つきながら私にそのバラをくれたの
バラの茂みのところから、おお母さん
あのバラの所から私は来たの


1849年、シューマンはスペインを舞台とした歌物語を書くことを考えます。その結果が独唱と様々な組み合わせの重唱からなる作品74、そしてもうひとつはさらにピアノ独奏曲も入って一層多彩な作品138というふたつの作品がこの年生み出されました。ほんのりと異国情緒をまぶしたシューマンの美しいメロディは魅力的で、彼の作品の中でも異彩を放っています。詩はガイベルがスペインの民謡や古い詩を選んで翻訳したもので、ヴォルフのスペイン歌曲集はじめ、他の19世紀のドイツの作曲家にもたくさん取り上げられています。

第1曲目は女声の二重唱、素朴な詩に素朴なメロディで若い娘の恋の悩みを歌います。16世紀スペインの戯作者ジル・ヴィセンテが原詩なのだそうで、もともとは舞台で歌われた劇中歌だったのでしょうか。このガイベルの詩につけているのはしかしながらシューマンが唯一のようです。

( 2011.07.21 藤井宏行 )


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