Tragödie Op.64-3 Romanzen und Balladen IV |
悲劇 ロマンスとバラード第4集 |
1 Entflieh mit mir und sei mein Weib, Und ruh' an meinem Herzen aus; In weiter Ferne sei mein Herz Dein Vaterland und Vaterhaus. Entfliehn wir nicht,so sterb' ich hier Und du bist einsam und allein; Und bleibst du auch im Vaterhaus, Wirst doch wie in der Fremde sein. 2 Es fiel ein Reif in der Frühlingsnacht, Es fiel auf die zarten Blaublümelein: Sie sind verwelket,verdorrt. Ein Jüngling hatte ein Mädchen lieb; Sie flohen heimlich von Hause fort, Es wußt' weder Vater noch Mutter. Sie sind gewandert hin und her, Sie haben gehabt weder Glück noch Stern, Sie sind verdorben,gestorben. 3 Auf ihrem Grab,da steht eine Linde, Drin pfeifen die Vögel und Abendwinde, Und drunter sitzt,auf dem grünen Platz, Der Müllersknecht mit seinem Schatz. Die Winde,die wehen so lind und so schaurig, Die Vögel,die singen so süß und so traurig: Die schwatzenden Buhlen,die werden stumm, Sie weinen und wissen selbst nicht warum. |
1 俺と一緒に逃げて 俺の妻になれ そして俺の胸でやすらぐんだ はるか遠くの地で 俺の胸が お前の父の国 父の家になるんだ 一緒に逃げないのなら 俺はここで死ぬまでさ そしてお前はひとりぼっちだ だけどお前の親の家に留まってたところで それでも異国にいるみたいになっちまうだろうぜ 2 春の夜に霜が降りた か弱き青い花の上に降りた 花たちはしおれ、枯れてしまう ひとりの若者が ひとりの娘を愛し ふたりはひそかに家を飛び出した 父も母も知らないうちに 二人はさ迷いあるいた そこかしこを 幸運にも 星の巡りにも恵まれず 二人は死んでしまった 3 彼らの墓の上、そこにはリンデの木が立っている そこでは小鳥がさえずる 夕辺の風の中 その下の緑の芝の上に座っているのは 粉屋の職人とその恋人 風がとても優しく とても不気味に吹く 鳥はとても甘く とても悲しげに歌う おしゃべりしていた恋人たちも押し黙り 泣いてしまうのだ なぜだか分からないけれど |
ひとつ前のロマンスとバラード作品53でも第3曲目「哀れなペーター」で行われていた、3つの異なる曲をひとつの物語としてまとめて一曲とした作品です。こちらも「哀れなペーター」と同じハイネの詩で、力強くロマンティックな駆け落ちの誘いの第1曲、そして寂しく暗い悲しみに満ちた第2曲、そしてその悲劇すら時の流れの中で忘れ去られてしまい、別の恋人たちが愛をまたささやく第3曲(独唱で歌われることもありますが正式には男女のデュエットのようです)と曲想のダイナミックな違いは面白いところです。ひとりで3曲を歌うこともありますが、バリトンのブリン・ターフェルの入れたシューマン歌曲集のように、この3つ目の曲だけを別の歌手たちのデュエットにして収録するという贅沢な録音もあります。別人たちが愛をささやきながらも、過去にあった悲劇の余韻をそれとはなしに感じ取っているという物語からするとこれが正しいのでしょうけれども。
この曲も前の2曲のメーリケの詩による歌同様1847年の作品です。
( 2011.07.03 藤井宏行 )