Mein Wagen rollet langsam Op.142-4 Vier Gesänge |
ぼくの馬車はゆっくりと転がってゆく 4つの歌 |
Mein Wagen rollet langsam Durch lustiges Waldesgrün, Durch blumige Taler,die zaubrisch Im Sonnenglanze blühn. Ich sitze und sinne und träume, Und denk' an die Liebste mein; Da grüßen drei Schattengestalten Kopfnickend zum Wagen herein. Sie hüpfen und schneiden Gesichter, So spöttisch und doch so scheu, Und quirlen wie Nebel zusammen, Und kichern und huschen vorbei. |
ぼくの馬車はゆっくりと転がってゆく 喜ばしげな森の緑を抜けて 花咲く谷間を抜けて、そこは魔法のように 太陽の光が花開いている ぼくは座ってぼんやりして夢みてる そして考える、ぼくの恋人のことを そこに挨拶してきたのは三つの影 馬車の方にお辞儀をしてる 彼らは飛び跳ねながら顔をしかめる あざ笑ってでもいるように でもとても恥ずかしそうに そして霧が寄せ集まるようにぐるぐると回って そしてクスクス笑いながら遠くへ飛び去っるのだ |
これもオリジナルの「詩人の恋」には含まれていた曲でした。ハイネの詩集では54番目とかなり最後に近いところ。何とも不思議な情景描写です。リヒャルト・シュトラウスが同じ詩に曲を付けていて、こちらはかなり奇怪な表情付けができていましたが、シューマンの曲はかなりメルヘンチックです。こちらもメルヘンチックで不思議な光景を描き出している、やはり同様に省かれてしまった「ぼくの恋は輝いている」(作品127に収録)の次の曲ですが、激しさの溢れるこの曲とは好対照な静かな曲です。
( 2011.06.04 藤井宏行 )