Dein Angesicht Op.127-2 Fünf Lieder und Gesänge |
君の顔 5つのリートと歌 |
Dein Angesicht so lieb und schön, Das hab' ich jüngst im Traum gesehn, Es ist so mild und engelgleich, Und doch so bleich,so schmerzenreich. Und nur die Lippen,die sind rot; Bald aber küßt sie bleich der Tod. Erlöschen wird das Himmelslicht, Das aus den frommen Augen bricht. |
君のとても愛らしく美しい顔 それをこのあいだぼくは夢で見た それはとても穏やかで天使のよう だけどとても蒼ざめて、苦しみでいっぱいみたいだった ただ唇だけは 赤かった だけどすぐに死がくちづけをしてそれを蒼ざめさせ 天の光も消えてしまうことだろう そのやさしい瞳から発していた光も |
この曲はもともと作品48、有名な歌曲集「詩人の恋」に入れられる予定の歌曲でした。ハイネの詩集では5番目、ちょうど歌曲集に残された4番目の「ぼくが君の瞳に見入るときには」と7番目の「ぼくはこの心を浸したいんだ」の間です。ちなみに次の詩の「君の頬を寄せて」も歌曲集に含まれる予定でしたが、この曲同様に最終的には省かれて作品142の歌曲集に入れられています。バリトンのトマス・ハンプソンが録音したEMIのCDでは、省かれる前のオリジナルな形の「詩人の恋」が聴けて興味深いところですが、失恋までの歌のつながりが少々くどくなってしまったのは事実で、シューマンがこの歌を省いたのは納得できます。特にこの詩は後半、いかにもハイネらしい毒が出ていて歌曲集としての「詩人の恋」一連の流れから浮いてしまっています。もっともシューマンはこの後半の毒のところにも憧れに満ちた美しいメロディをつけていますのでちょっと居心地は悪いですが。
もっとも単独の歌曲としてはたいへん魅力的です。
( 2011.06.04 藤井宏行 )