TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ


Ne poj,krasavitsa,pri mne   Op.4-4  
  Shest' romansov
歌わないでくれ、乙女よ、私に  
     6つのロマンス

詩: プーシキン (Aleksandr Sergeyevich Pushkin,1799-1837) ロシア
      Не пой,красавица,при мне (1828)

曲: ラフマニノフ (Sergei Rachmaninov,1873-1943) ロシア   歌詞言語: ロシア語


Ne poj,krasavitsa,pri mne
Ty pesen Gruzii pechal’noj;
Napominajut mne oni
Druguju zhizn’ i bereg dal’nij.

Uvy,napominajut mne
Tvoi zhestokie napevy
I step’,i noch’,i pri lune
Cherty dalekoj,bednoj devy!

Ja obraz milyj,rokovoj,
Tebja uvidev,zabyvaju;
No ty poesh’,i predo mnoj
Ego ja vnov’ voobrazhaju.

歌わないでくれ、乙女よ、私に
お前のそのグルジアの悲しい歌を
その歌は私に思い出させるから
遠い彼方の岸辺での過ぎ去った昔を。

ああ、思い出させるのだ
お前の残酷な調べは
あの草原を、夜を、そして月明かりに
浮かぶあの娘の姿を。

あの美しい、運命的な姿を
お前を見ているだけなら、忘れられていたのに
ひとたびお前が歌い、それが私に届くと、
あの姿がまた現れてくるのだ。


ヴォカリーズだけが突出して有名な感のあるラフマニノフの歌曲ですが、他にも素敵な旋律の曲がたくさんあります。この曲も、ピアノ伴奏の奏でる哀愁に満ちたグルジアの調べが忘れ難い印象を残す佳曲で、ヴィシネフスカヤみたいなソプラノで聴くと素晴らしいだろうと思うのですが残念ながらこれは聴いたことがありません。
ゼーダーシュトレーム/アシュケナージのコンビでDecca に歌曲全集の録音があり、彼女はあまり歌曲には向かない歌手のような気もするものの、こんな感じの曲は割といい感じです。あとはやはり渋いバスやバリトンで。クリストフあたりが味わいがあります。 (藤井宏行)1998.06.20

その後色々と聴いた中では、別項でも紹介したゲッダ/ワイセンベルグの激烈な解釈が面白かったですが、この曲の浸り込むような悲しみを静かに、ひそやかにつぶやくように歌っているスラヴァ(カウンターテナー)/ベレゾフスキーもまた忘れがたい印象を与えてくれます。
これら両極端の解釈の間に色々な名唱があるのでしょう。これだけ違うと聴き比べるのも面白いです。

2003.11.22改訂 藤井宏行

( 2003.11.22 藤井宏行 )


TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ