Goal and Wicket The Land of Lost Content |
ゴールとウィケット 失われた満足の地 |
Twice a week the winter thorough Here stood I to keep the goal: Football then was fighting sorrow For the young man's soul. Now in Maytime to the wicket Out I march with bat and pad: See the son of grief at cricket Trying to be glad. Try I will; no harm in trying: Wonder 'tis how little mirth Keeps the bones of man from lying On the bed of earth. |
冬の間じゅう 週に二回 ここに立ってぼくはゴールを守った そのときはフットボールは悲しみと戦ってくれたのだ 若者の魂のために 今この五月にはウイケットに向かって バットを持ち胸当てを着けて歩いて行く ご覧よ 悲しみの息子はクリケットで 自らを奮い立たせようとしているのだ 頑張るのだ、頑張って困ることは何もない こんなささやかな気晴らしで十分だとは驚きだ 人間が骨となって横たわるのを防ぐのに あの土のベッドの上に |
冬にはサッカー、夏にはクリケットというのがイギリスの若者たちのスポーツの楽しみ方なのでしょうか。ただここで歌われているのは人生の虚無を抱えた孤独な若者の心。おそらく表面的には楽しげに仲間とワイワイやっているのでしょうが、心の中では耐えがたい苦しみが渦巻いている。音楽もやり場のない怒りをぶつけているような感じです。ただそんな中でも、人を死への誘惑から引き止めるのがこうしたスポーツだというのは非常に興味を引くところです。音楽やスポーツなど、単なる気晴らしとしてしか扱われていないものが、実はとても大きな意味を持つということが。
ハウスマンの詩集ではこれは17番目の詩です。
( 2011.04.30 藤井宏行 )